せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

姫初②

親に抗いたいという反抗心も相まって、私は支度を始めた。


彼の巧妙な口車に乗せられたと取られるかもしれないが
おそらくこのときに言っていたことは本心なのだと私は思った。
彼は不器用で女心の分からないやつである。
もし私を意図して乗せたのであれば、
むしろその調子で今後も私を喜ばせてほしいとすら思う。


とは言え…



多分触れてはくるだろうな。


ただ並んで話をするだけなんて絶対無理だ。
いや私が無理なんじゃなくて向こうがね?


散歩しようと呼び出されてラブホに連れて行かれたり、
少し話そうと言われて外でセクハラされたりでそのへんの信用はない。


私も満更でもないし、結果的には構わないんだけど
性欲の捌け口としてお気軽に召喚されていると思うとやるせなくなることはある。


こういう関係になる前は、
よくスーパーのフードコートで延々と駄弁るとか、近所の公園を徘徊するだとかそんなことばかりしていた。
今二人で会うと彼は、童貞ぶっていた頃とはちょっと違う雰囲気を漂わせている。
本来こっちが本当の彼なのかもしれないが、
知れてよかったかと聞かれると答えに詰まる自分もいる。


まあ話が逸れたが、
おそらく部屋に行ってしばらくしてそういう空気になるのはまず間違いないだろう。
あるいは本当に何か話したい用件でもあるのか?


一人であれこれ考えながらそっと書き置きを残して、
私以外が寝静まった我が家をコソ泥顔負けの慎重さで後にした。


付近まで来たことを連絡すると
寒さに肩を竦めながら彼が家から出てきた。
ここでどんな言葉を交わしたか全く思い出せないが帰宅後、
ろくに新年の挨拶をせずに別れてしまったことに気づくのだった。


玄関の扉を開けると1階は真っ暗で、当然ながら人の気配は全くなかった。
足を踏み入れ階段の先を覗き込むと、半開きの戸から暖かな灯りが漏れている。
二人分の足音だけが暗闇に響いた。


前回来たのは夏。
空調が故障していて汗だくになりながらみんなでひしめき合っていた場所に
今は重量感のあるやかんが乗せられた古めかしい石油ストーブが居座っていた。
あと違うことと言えばベッドが片付けられていないこと…


彼は入って早々どかっとベッドに腰を下ろした。
ここで隣に座ってはさすがにあざといか?
と余計なことをちらっと考えたが、
私が荷物を隅に置くと
ベッドに座っていいよ、
と言明されてしまった。
まあ、他に座るとこもないしここですよね。


言われた通り隣にいくと、
この部屋何もないけどね!
と私が何か言うより先に前置きして苦笑した。
何か話すことがあるわけでもないし、
と続けたので伝えたい用件がある線は消えた。
暇だし家族いないし誰か呼ぼう!と思い立っただけで、実際何も計画はないんだろう。


いや、ヤる計画だったんだな、
でも私生理だから。すまんな。


彼はほんとに私に話はないらしく、ほっといたら黙り込みそうな気すらしたので
適当に部屋を見回して質問したり正月にあったことなんかを話した。
そうやって雑談をしていると、彼が腰に手を回してきた。
お〜来た来た、いつものやつ。


二人きりで過ごしていて触れない道理もないのだろうか?
毎度こういう風にじりじり距離を詰めてきて、最終的にはセックスまでなだれ込むのである。
しかし、今日は私が生理であったことが頭を過ったらしく
だめだ、俺すぐこんなことして、
と回した手をぱっと離した。
いちゃいちゃくらいはできるんだけどなぁ。


別に構わないけど最後までできないもんね、
と苦笑いを返しつつ話を続けたのだが
やはり普通に大人しく座っていることはできないらしくそわそわしていた。
挙げ句には
俺の脚の間に座って、
と提案され、移動すると後ろからぎゅっと抱きしめられた。
おお、なるほど、これは楽しい。


うわーこれどきどきするな!
とはしゃいで見せると、
こんなことしてたら彼氏に怒られるな、
と言って私の顔のそばで笑った。
言いながら手は離さないのだが。
もし怒られるとしたら何もかも今更だよ。
ちなみに怒らないから大丈夫だよ。


すると彼は何かを思い立ったのか立ち上がり、
部屋の灯りを消した。


そしてまた所定位置に戻って私を抱き直した。
目の前にあるストーブの火だけが部屋をほんのりと暖色に染める。


なんか、急に部屋の雰囲気変わるね、
ストーブが良い味だしてる、
と私がコメントすると
分かる、
でもこうなるといよいよ変な気分になるな、
と耳元で微かに笑った。


戦犯だろ。

姫初①

年が明けた1月1日。


この日は親戚へ新年の挨拶をしに行くことが私の毎年の恒例である。
今年いつもと違ったことと言えば
私だけ寝正月をして父母と初詣に行く定例をすっぽかしたことと、
一昨年免許を取った私の運転で祖父母宅へ行ったということくらいで、
やはり例に漏れず
親類と久々の会合を果たした。
それからしばし雑談などして帰宅した。


その後は特にすることもなかったので、
もらったお年玉を数えるなどして優雅に過ごしていたのだが、
そこに一通のLINEが届いた。



『今日の夜空いてる?』



時刻を1時になろうかという頃合い。
正直私はこの時間帯から外を出歩くことはないのだが、
この男からの誘いを何度か断っていたこともあり、目を引いた。


断っていた理由としては毎度時間が合わないためである。


彼はいつも気まぐれに、それも深夜に
ちょうどこのときと同じような誘いのLINEを送ってくる。
しかし私は実家暮らしの手前親の顔色をうかがわなければならず、
何をしに行くかも何時に帰るかも不明瞭な急用で夜間に家を出ることは不可能に近かった。
あとは次の日早起きをしなければならないのであまり気乗りしなかったことも大きな要因である。


ところで何をしに行くかも分からないと書いたが、
それは親に説明がつかないという意味で
彼が何がしたいのかは私からすれば明瞭だ。


彼は私とセックスがしたいのだ。


まず間違いない。
根拠は、彼と関係を持って以来、
こうして呼び出されてセックスをしなかった試しがないからである。
(ちなみに過去のブログに掲載している「詐欺」「こないだのセックス」「キスマーク」と同一人物。このあとにもう一回セックスしたが特に書くようなことがなかったので記事にしていない。)


おそらく彼の何人かいるセフレのうちの一人となって、
地元で呼び出せる女リストに名を馳せているのだろうが
そんなこんなで最近付き合いもタイミングも悪くかなりご無沙汰であった。


私もいい加減そろそろしたいなーと思っていたので
ひとまず彼のLINEに取り合ってみる。
とは言ってもやはりこの現在時刻…。
大学生にもなって成人もしてこんなことを言うのは面白みのない話だが、
時計に目をやった瞬間から
父を説得するのも面倒だしやめとこうかなぁ
という自制心が急速に増大した。


それと今日に限って言えば時間の問題よりも先に伝えなければならない事項があった。


『ちなみに私生理なんだよねー笑』


事実である。
なんなら明日彼氏とセックスできるかも怪しいなみたいなことを思っていた生理終盤のこの局面。
許してよね、私に罪はないよ。


何がしたいと言ってきたわけでもない彼に対して我ながら直球の返答だったが、
彼は取り繕うわけでもなく


そっかぁ、残念


と返してきた。
その後
別に話すだけでも良いんだけど、
とおまけのように付け加えた。
いや良くないだろ、お前そうやって話するだけとか言っていつもしかけてくるよ?


また誘うわ、、、
という彼の返答を持って会話が終了しようとしていたのだが、
せっかく連絡してきてくれたのに無理です、の一言で途絶えさせるのも味気ない気がして
取り留めもないことを送って場を繋いだ。


よく聞くと今日はご家族が外泊しているらしく、彼は部屋で一人暇を持て余しているようだ。
諦めたかのように見えた彼だったが、
この事実を私に話して改めて思いを強めたのか
こんなこと滅多にないし、部屋でゆっくりするだけでも、
と話を戻した。


なるほど、確かにこの状況はあるかないかくらいのことなのかもしれない。
彼の家にはいつもご家族の誰かがいるらしく、前回部屋にお邪魔したのは1、2年前に友達数人と押しかけたときだ。


あの頃は彼はまだ童貞だったのかな?


初めて部屋に入ったときに、
この部屋に彼の恋人が来ることも今後あるのだろうか、
ここで彼に触れられるならどんなに楽しいだろうか
と一人で妄想したことを思い出した。


彼は静寂の中に一人取り残されて心細いのか
来てくれたらうれしい、とか
少し話すだけでもいい、とか
普段なら言わないような素直な言葉を重ねた。


いつもならすぐ引き下がるのになぁ。
どうしたんだ、今日は。
冬休みだからかな。
そうだよ、正月なんだし今日くらい親も許してくれないかな?
親がどうとか言うの一番しょうもないよね…


私が一人で悶々としていると、さらなる追撃がきた。


『会いたいな』



負けた、行くわ。

ラブホ街の夜 完結

私に体勢を保たせたまま、彼は再び中に指を入れた。
行為中渇くことなく濡れたそこは快くそれを受け入れてしまう。
ぐっちゃぐちゃ、笑
と彼はわざと音を立てるように指を動かして笑った。
こういう最中だからか、いたずらっ子のような笑みがなんとなく愛おしく感じた。


彼は片手では中を攻め立て、もう片方の手にはローターのコードを持ち、
凧糸で沢蟹でも捕まえるかのようにクリを狙って下ろした。


同時攻め…!


両方の刺激が上手く噛み合ったときには思わず腰が跳ねた。
ローターの振動は、やはり指とも舌とも違って今まで体験したことのない快感だ。
しかし最初こそ器用に焦らしたりなんなりしてたが、
両方の手にそこまで神経を集中させられなかったのか
後半ローターはほぼ私のクリの上に乗ってるだけだった。
そうなるとピンポイントに良いところに当て続けられるわけがなく、ローターは私の脚の付け根あたりに居座った。
それに気づくと彼はまたローターを引き上げ位置を整える。


まあ細かいことは良いとして。


とにかく絵面がエロいし、玩具を使って二点攻めされてるという事実に興奮した。
それにやはり同時攻めが成功したときの快感は言葉にできなかった。


私はずっと喘ぎっぱなしで、枕を掴んで悶えた。
そんな様子を彼はじっと見ている。
私と目が合うと少し笑ったり、あえて手を止めて見つめたりする。
動きが止まるともどかしくて私が身じろぐのが面白いらしい。
彼の視線に興奮しているせいか、感度も上がってきて
ローターが少し触れるだけで体が跳ね上がってしまう。
私が気持ちいい、と言うとそこで寸止めして私を見る。
すごい意地悪なんだけど、これ結構好きだわ私。
私がこいつに求めてる攻めだわ。


そんなやりとりがしばらく続いて、やっぱり私がイッたふりをして終わった。
なんならふりなんかせずにずっとしててほしいくらい気持ちよかったのたが、
さすがにそうなると際限がなさすぎて申し訳ないし
私も体力が保たない。


彼はすごく満足げだった。
こういう攻め方が好きなんだろうな。
自分が気持ちよくなることをひとまず置いておいて相手の反応を見るのが楽しい、
というタイプの人とのセックスは心の充足感がある。


そろそろ帰る用意するか、
と彼は言った。
しかし、彼のものがまた硬く膨れ上がっているのが目に留まった。
それほっといて良いのか?
と私が聞くと、
俺はもう十分満足したから良い、
と即答した。
LINEでは2回はしたいな〜というようなことを言っていたので、それを持ち出してみると
そのときはそう思っていたが意外と疲れた、
という釣れない答えが返ってきた。
おそらく体調が優れないと言っていたのもあるし、
第2ラウンドに突入する気力はないのだろう。
だが私が何を気にしてるかってそのブツの処理をどうするのかということであってだな…


それ、私がどうにかしてもいい?
と聞くと、
したいならすれば
と言う真意の読めない言葉を吐いた。


ツンデレかお前は。


とりあえずそれに触れ、また口に咥えた。
先程は
喉奥まで突き立てたほうが気持ちいい
というようなことを言ってイラマじみたことをしていた彼だが、
あまり竿まで咥えず先のほうだけしごくのが気持ちいい、
とまた新しいリクエストをしてきた。
こっちが彼の普段の自慰に即してるんじゃなかろうか。


そうして言われたとおりにしゃぶっていたが、彼が
胸を舐めてほしい、というので手に持ち替えた。
さっき攻めたときにあまり手応えが感じられなくて消極的になってしまっていたが、
どうやら乳首は感じやすいらしい。
強気な彼も体がびくびくとしなる。
敏感な男の子の感じ方って思った以上に大胆よね(?)


そうして胸を舌で攻めながら手を上下させているうちに彼は達した。
あふれた液が彼の腹部に飛び散っている。


どうせなら口に出してほしかったのにな。
そんなことを思いながら白い液溜まりを吸い上げると、
彼は引いたような声で
それはやめとけ、
と言った。
無視して全て吸い上げ、その跡を綺麗に舐め取ってやったらそれ以上は何も言わなかった。


そのあと彼は賢者タイムに入ったのか
私に触れることもなく、
何か感想を言うこともなく、
いつも通りの調子で、
シャワー浴びて帰ろ
と言った。


気づけばホテルに入ってから2時間。
長かったような短かったような。
私は思っていたよりすごく楽しめて、満足していた。
しかし彼はどうだったのだろう。
私の攻め方は全然甘かったと思うし、何より本番で彼が満足できていない気がした。
こういうとき手軽に言葉を求めてしまって、
どうだった?
と聞いたりするのだが、彼は
良かったよ
と抑揚もなく答えるのみだった。


もしかすると次はないのかも、みたいなことを考えつつ
黙々と一人でシャワーを浴び、帰り支度を整えた。
よく女性はピロートークを重視する、なんていう文言をネットで見たりするが
なんとなく分かる気がした。
終わった後に、良かったよ、とか楽しかったよ、とか言って
たとえばキスをしてくれるとか、抱きしめてくれるとか
そういうのがあるのとないのとでは精神的な安心感が違う。
一方で、何人かとこういう行為をして、賢者タイムのテンションも人によって違うということもなんとなく分かっていた。


行為後に甘い雰囲気が皆無だったからといって
そいつがどうだとか言えるわけではないと思うのだが、
だからこそ、そこで何か言える男の子はかっこいいなぁと改めて思った。


彼は別に冷たくしてくるわけでも、ヤり終わったのでお前は用済みだという態度をとるわけでもなくて
単純にただただいつも通りというだけだった。
私は欲張りなのでもう少し何か言ってほしかったんだけど。


そういうこともあって、
あー今回私はあんまり良いプレイをできてなかったかもなぁ
と反省しながらホテルを出たのだが、
帰り際に
飯食って帰る?
と誘われ、最寄り駅付近の店で夕食をとることになった。
宿泊の日に事後添い寝するのは普通にあるが、
こうやって休憩のあと食事をするみたいな流れは彼氏以外では初めてで
これが彼のピロートークだったりするのかな?とふと思った。
セフレに対して、セックスをするだけではなく食事をしたり話をしたりするのもマナーというかサービスの一つだと考えているのかもしれない。
真面目なこいつならありえる。


食事中は(公衆の面前であるから当然だが)最中の話なんかは全くなくて、
いつも通り、バイトや友達の話なんかをした。
店を出て、駅に向かう間
今日は楽しめた?
と再度聞くと、
楽しかったよ
と一言だけ返ってきた。
その一言から全て感情を読み取れるほど彼を知ってるわけでもないし、
知らないなりにその一言にそんな大層な気持ちが詰まっているようにも思えない。
本当の気持ちが分からなくて気持ち悪いなー笑
と正直に言ったところ、
分からないくらいがちょうど良くない?
と言われた。
その台詞が一番気持ち悪いわ。


しかし実際後日、
あのあと腰が痛かっただとか、次する時また玩具使おうだとか
バイトの休憩中にやたら話しかけてくるのでおそらく成功だったのだと思う。
普通にホッとした。


次はあのラブホ街のどのホテルに行くのか、
彼は私の顔を見るたびにそんな話をするのだった。

ラブホ街の夜 ⑧

存在は知っていたし漫画やら動画やらで見たことはあったが、
実物との対面はこれが初めてだった。


ピンクだ。
本体もスイッチもピンク。
個人的にピンクローターという呼び方には違和感があって、黄色かったらイエローローターなのか?とか思っていたが
これはピンクローターだわ。


使ってみる?とかいうくだりもなく、彼は透明のケースを開け始めた。
付属の書き置きによれば無料で自由に使っていいらしい。
やっすいラブホのわりに気前がいいことで…。
彼が私の方にまだビニールに梱包されたままの乾電池を投げて寄越したので
私もとりあえずペリペリと開封した。
電池をはめ込み、ダイヤル式のスイッチを回すと


ヴヴヴヴヴ


うっさ。
まだ最弱なはずなのにまあまあの振動だし、バイブうるさ。
今思えばそんなもんなのかもしれないけど、二人して「うわ」と仰け反った。
しかもなんかスイッチが赤く光ってる。
暗がりでスイッチなくしたらえらいことだもんなー。


使ったことある?と聞かれたので首を横に振った。
前述したとおり彼はこのホテルに来たことがあるようなので、もしかするとこのピンクローターのプレゼントは2回目なのかもしれないが
俺もない、
と言ってローターを観察していた。
コードが思ってたより太い。
というかしっかりしてる。
もっとイヤホンのコードみたいなの想像してた。


彼はローターを私の腕に軽く当てた。
こそばゆいような不思議な感覚だ。
今度はそれを内ももに押し当てた。
あー、なるほどこれは……。
柔らかい皮膚が細かく震えるとなんとなく気持ちいいような気がする。
逆に強く押し付けると、皮膚が振動を潰してしまって、感覚が鈍くなる。
これ、結構コツがいるかもしれないよ
と、いつも会話をするときと同じトーンで感想を言うと、
ふーん、なるほど…
と彼もいつもと変わらない調子で呟き、
私の体でいろいろ試し始めた。


触れさせる強さを変えたり、抑揚をつけてみたり、持つところを変えたり、当てる場所を変えたり…
私はそれに対して、
あーそれはあんまり、あ!それうまい
などと反応し、彼はそれを聞いてより良くなるように調整した。
もはや甘いムードもへったくれもない。ただの研究会だ。
だが、触れるか触れないかくらいの強さで胸を刺激され
あっ……それは、……やばい、笑
と私の声が上ずったところで、
彼はまた私を攻め立てるモードへと切り替えた。


敏感なところにローターを這わせ、そっと押し当て、
私の反応をじっと見る。
良さそうなところには当てるギリギリで寸止めして私の様子を伺う。
私が焦れて身じろぐと的確に当ててにやっと笑った。
なんか楽しそうだな?


そういやスカートをまだ脱いでなかったことを思い出し、
これずっとこのままのほうが良いの?
と聞くと、特に返事をするわけでもなくスカートをずり下ろした。
正真正銘の全裸だ。
さっきまでスカートだけ穿いてたと思うと正直面白い。
それからまた押し倒され、脚を開くように指示された。
それだけでも十分恥ずかしいのだが、その上
自分で広げてろと追加で指示された。
てっきり脚を持ってろと言うことかと思ったら、
違う違う、ここ
と性器を指で広げられ、自分でそのまま固定しているように言われた。
くぱぁってやつじゃん、恥、
みたいなアホなことを思いながらなんやかんや言うとおりにしてしまう。
すると彼はローターのコードを指でつまんで持ち、本体をクリの前にぷらつかせた。
過去に先輩がした電マをクリにゴリゴリ押し当てるというプレイ(全然良くなくてびっくりした)が私の玩具に対する抵抗感になっていたのだが、
剥き出しのそこに振動が触れたり離れたりする感覚はそのときとは全くの別物だった。
これめっちゃ気持ちいい…


自分で広げて、そこに当たるのをじっと待って、一瞬の刺激に悶えて…
自分でも滑稽だが、私の痴態を面白がりながら眺めている彼が今日一番楽しそうで
その様子に興奮してしまった。

ラブホ街の夜 ⑦

ゴムをつけた途端に彼が体を起こして私に覆いかぶさった。
おお、ついに来るのか…。
彼は入れる場所にそっと触れて確認してから、ゆっくりと侵入してきた。
時間をかけて解されているので全く痛みはない。
前の彼女は入れるときに痛がって上手くいかなかったと話していたが、私はそういう心配はなさそうだ。
むしろするりと受け入れ、あっけなく繋がってしまった。
こいつとセックスする日が来るとは…。


彼はすぐには動かず、しばらくは中の様子を伺うように腰をくねらせるだけだった。
さっき入れる前にふにゃっとしてたので
中折するんじゃないかと少し心配していたのだが、
心なしか中に質量が集まるのを感じた気がした。
彼はゆるゆると腰を揺すり始め、それから徐々に速度を上げた。


全然普通に動けてる。
本人がセックスをあまり楽しめていないようなことばかり言っていたのでコッチの運動がド下手なのかと思っていたが、
歴代の童貞や騎乗位狂いより全然動けてる。
これ普通に良いかも…
彼が私を見下ろしながら
気持ちいい?
と聞いてくる。
うわ、なんかエロいな。
気持ちいいよ、というと
良かった、
と言ってそのまま動きを続けた。
途中で彼はおもむろに私の脚を持って、自分の肩に乗せた。
48手にありそうなやつ!
だいたいこれするとグラグラするからみんな挫折するけど、彼は割と安定していた。
快感に集中するくらいの余裕はある。
私が
そこ、めっちゃ良い、
と言うと
ここ?
と聞き返してそこを重点的に突いた。
一連の流れがエロいよね、もう。
ドキッとしてしまったわ。


そのあと片脚だけ上げる体位なんかもやったがこれはあんまりよく分からなかった。
こういうのって私の運動神経もあるんだろうな、みたいなことをぼんやり思った。
そのあと彼に指示されて上に跨った。
私が自分で彼のを挿入するのをじっと見つめ、全部入れ終わると腰に巻き付いたスカートを捲り上げて結合部を露出させた。
この絵面なかなかやばい、
と言う発言には私も同意だ。
なんだかんだ楽しくセックスできてるのがほんとに不思議。
疲れたから次は私が動く番ということなのかと思っていたが、彼はそんなつもりはなかったようで、
すぐに腰を上下し、下から振動を与えてきた。
私が動くのは良いのだが、騎乗位の試されてる空気感にプレッシャーを感じるタイプなので、
それがないだけですごく気が楽だ。
こちらが勝手に動くのも悪くないらしく、
何度か息を漏らしていた。
しばらく続けたあと、彼が
そろそろいきそう
と言って上体を起こした。
繋がったまま私を上に乗せ、抱きしめて呼吸を整える。
汗だくになっちゃったね、
と私が言うと
当たり前、笑
と笑っていた。
それから耳元で
どの体位が一番良かった?
と聞いてきた。
ラストスパートはどれにするかという質問だろう。
○○が気持ち良かったやつでいいよ、
と答えると、
俺は別になんでもいいよ、
お前さえ気持ちよければそれで今日は良い、
と返された。
ちゃんと気持ちよくなれてるんだろうか…?
もしかしたら自分自身はそんなに良くないのかもしれない。
セックスで安定して腰を動かせるようになることと、自分が気持ちよくなれるように動けることはまた違うと思うし。
それか私との相性が良くなかったとか…?
たった一言で一瞬にしてもやっとしたが、
とりあえず正常位がしたいと答えた。


後半戦に入ってからはあっという間だった。
彼の顔を見ていると余裕がなさそうで、
いつもスカした態度ばかりとってるこいつもこんな顔するんだなーみたいなことを思った。
彼が抱きついてきて、滴る汗が私の体を伝った。
耳元で荒い息遣いを感じていると彼は達した。
声もなく、前置きもなかったが、
いく瞬間にぱっと離れ外で出した。


終わったあとしばらく呆然と座っている彼に
いっぱい出たな、
と話しかけると
ああ、
と、その気があるのかないのか分からないような返事をした。
彼の自己ベストはこんなものじゃないのかもな。


ここで恐ろしいのは賢者タイムに入ってどういう扱いをされるのかということだったが、
彼はというと
さすがに疲れたな、
としばし停止したあと私の飲みさしの缶チューハイを飲み、雑談をし始めた。
突き放されるということもなければ甘いピロートークがあるわけでもないという感じ。
可もなく不可もなく。
部屋は真っ暗で時間の感覚もなくなっていたが、まだ入ってから1時間ほどしか経っていない。
もう夜中のような気がしたと私が言うと、
テレビで夕方のニュースやってたから俺は時間は分かってた、
と言った。
そういや付けっぱだったけどそんなしっかり気にしてたなら消せよな。


めっちゃ気持ちよかったし、めっちゃ上手いね、
と私が感想を言うと
誰にでも言ってんだろ?
とまた笑われた。
人間不信なのかこいつは。
思ってなかったらさすがに言わないわ、お世辞言うのもめんどくさいし、
と補足すると
満更でもなさそうな声で
ふーん、と言った。
まあ、お世辞は必要なら全然言うんだけど。
今回は普通に良かったと思った。
期待値が低すぎたかもしれない。


彼がテレビの話を始めたので、今日はこれで終わりなのかな?と思っていたのだが
しばらくするとまた私の体をいじり始めた。
素直に快感に身をくねらせていると、
彼が何も言わず机から見覚えのあるものを手に取った。


でた


ピンクローター。