せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

ラブホ街の夜 完結

私に体勢を保たせたまま、彼は再び中に指を入れた。
行為中渇くことなく濡れたそこは快くそれを受け入れてしまう。
ぐっちゃぐちゃ、笑
と彼はわざと音を立てるように指を動かして笑った。
こういう最中だからか、いたずらっ子のような笑みがなんとなく愛おしく感じた。


彼は片手では中を攻め立て、もう片方の手にはローターのコードを持ち、
凧糸で沢蟹でも捕まえるかのようにクリを狙って下ろした。


同時攻め…!


両方の刺激が上手く噛み合ったときには思わず腰が跳ねた。
ローターの振動は、やはり指とも舌とも違って今まで体験したことのない快感だ。
しかし最初こそ器用に焦らしたりなんなりしてたが、
両方の手にそこまで神経を集中させられなかったのか
後半ローターはほぼ私のクリの上に乗ってるだけだった。
そうなるとピンポイントに良いところに当て続けられるわけがなく、ローターは私の脚の付け根あたりに居座った。
それに気づくと彼はまたローターを引き上げ位置を整える。


まあ細かいことは良いとして。


とにかく絵面がエロいし、玩具を使って二点攻めされてるという事実に興奮した。
それにやはり同時攻めが成功したときの快感は言葉にできなかった。


私はずっと喘ぎっぱなしで、枕を掴んで悶えた。
そんな様子を彼はじっと見ている。
私と目が合うと少し笑ったり、あえて手を止めて見つめたりする。
動きが止まるともどかしくて私が身じろぐのが面白いらしい。
彼の視線に興奮しているせいか、感度も上がってきて
ローターが少し触れるだけで体が跳ね上がってしまう。
私が気持ちいい、と言うとそこで寸止めして私を見る。
すごい意地悪なんだけど、これ結構好きだわ私。
私がこいつに求めてる攻めだわ。


そんなやりとりがしばらく続いて、やっぱり私がイッたふりをして終わった。
なんならふりなんかせずにずっとしててほしいくらい気持ちよかったのたが、
さすがにそうなると際限がなさすぎて申し訳ないし
私も体力が保たない。


彼はすごく満足げだった。
こういう攻め方が好きなんだろうな。
自分が気持ちよくなることをひとまず置いておいて相手の反応を見るのが楽しい、
というタイプの人とのセックスは心の充足感がある。


そろそろ帰る用意するか、
と彼は言った。
しかし、彼のものがまた硬く膨れ上がっているのが目に留まった。
それほっといて良いのか?
と私が聞くと、
俺はもう十分満足したから良い、
と即答した。
LINEでは2回はしたいな〜というようなことを言っていたので、それを持ち出してみると
そのときはそう思っていたが意外と疲れた、
という釣れない答えが返ってきた。
おそらく体調が優れないと言っていたのもあるし、
第2ラウンドに突入する気力はないのだろう。
だが私が何を気にしてるかってそのブツの処理をどうするのかということであってだな…


それ、私がどうにかしてもいい?
と聞くと、
したいならすれば
と言う真意の読めない言葉を吐いた。


ツンデレかお前は。


とりあえずそれに触れ、また口に咥えた。
先程は
喉奥まで突き立てたほうが気持ちいい
というようなことを言ってイラマじみたことをしていた彼だが、
あまり竿まで咥えず先のほうだけしごくのが気持ちいい、
とまた新しいリクエストをしてきた。
こっちが彼の普段の自慰に即してるんじゃなかろうか。


そうして言われたとおりにしゃぶっていたが、彼が
胸を舐めてほしい、というので手に持ち替えた。
さっき攻めたときにあまり手応えが感じられなくて消極的になってしまっていたが、
どうやら乳首は感じやすいらしい。
強気な彼も体がびくびくとしなる。
敏感な男の子の感じ方って思った以上に大胆よね(?)


そうして胸を舌で攻めながら手を上下させているうちに彼は達した。
あふれた液が彼の腹部に飛び散っている。


どうせなら口に出してほしかったのにな。
そんなことを思いながら白い液溜まりを吸い上げると、
彼は引いたような声で
それはやめとけ、
と言った。
無視して全て吸い上げ、その跡を綺麗に舐め取ってやったらそれ以上は何も言わなかった。


そのあと彼は賢者タイムに入ったのか
私に触れることもなく、
何か感想を言うこともなく、
いつも通りの調子で、
シャワー浴びて帰ろ
と言った。


気づけばホテルに入ってから2時間。
長かったような短かったような。
私は思っていたよりすごく楽しめて、満足していた。
しかし彼はどうだったのだろう。
私の攻め方は全然甘かったと思うし、何より本番で彼が満足できていない気がした。
こういうとき手軽に言葉を求めてしまって、
どうだった?
と聞いたりするのだが、彼は
良かったよ
と抑揚もなく答えるのみだった。


もしかすると次はないのかも、みたいなことを考えつつ
黙々と一人でシャワーを浴び、帰り支度を整えた。
よく女性はピロートークを重視する、なんていう文言をネットで見たりするが
なんとなく分かる気がした。
終わった後に、良かったよ、とか楽しかったよ、とか言って
たとえばキスをしてくれるとか、抱きしめてくれるとか
そういうのがあるのとないのとでは精神的な安心感が違う。
一方で、何人かとこういう行為をして、賢者タイムのテンションも人によって違うということもなんとなく分かっていた。


行為後に甘い雰囲気が皆無だったからといって
そいつがどうだとか言えるわけではないと思うのだが、
だからこそ、そこで何か言える男の子はかっこいいなぁと改めて思った。


彼は別に冷たくしてくるわけでも、ヤり終わったのでお前は用済みだという態度をとるわけでもなくて
単純にただただいつも通りというだけだった。
私は欲張りなのでもう少し何か言ってほしかったんだけど。


そういうこともあって、
あー今回私はあんまり良いプレイをできてなかったかもなぁ
と反省しながらホテルを出たのだが、
帰り際に
飯食って帰る?
と誘われ、最寄り駅付近の店で夕食をとることになった。
宿泊の日に事後添い寝するのは普通にあるが、
こうやって休憩のあと食事をするみたいな流れは彼氏以外では初めてで
これが彼のピロートークだったりするのかな?とふと思った。
セフレに対して、セックスをするだけではなく食事をしたり話をしたりするのもマナーというかサービスの一つだと考えているのかもしれない。
真面目なこいつならありえる。


食事中は(公衆の面前であるから当然だが)最中の話なんかは全くなくて、
いつも通り、バイトや友達の話なんかをした。
店を出て、駅に向かう間
今日は楽しめた?
と再度聞くと、
楽しかったよ
と一言だけ返ってきた。
その一言から全て感情を読み取れるほど彼を知ってるわけでもないし、
知らないなりにその一言にそんな大層な気持ちが詰まっているようにも思えない。
本当の気持ちが分からなくて気持ち悪いなー笑
と正直に言ったところ、
分からないくらいがちょうど良くない?
と言われた。
その台詞が一番気持ち悪いわ。


しかし実際後日、
あのあと腰が痛かっただとか、次する時また玩具使おうだとか
バイトの休憩中にやたら話しかけてくるのでおそらく成功だったのだと思う。
普通にホッとした。


次はあのラブホ街のどのホテルに行くのか、
彼は私の顔を見るたびにそんな話をするのだった。

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