せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

社会人①

私にとって彼は特別だった。


誰かと寝たいとか、抱かれたいという気持ちは
大方関係性を変えたいというよりも好奇心によるところが大きいのだが、
彼に関しては、
友達以上の何かを求めていたのだと思う。


彼とのことは何度かここにも書いてきたが、
だいたい私はばちばちに興奮してるか
泣いているかの2択である。
私は彼を知らなすぎて、いつも勝手に思い込んでいる。
勘違いしていて、自惚れていて
それが彼をイライラさせるのだと思う。
ただ、私達は友達だから
なんだこの最低男は、なんだこのアホ女はと
そう簡単に絶縁できるものでもなく、
彼は性欲によっていろんなことが曖昧になるし
私は期待を捨てきれずにいつまでも繋がっている。


こんなセンチなポエムを書きたくなるような
くだらない感情を、私は彼に抱いていた。



彼と夜にあったのは一年前。
それ以後は卒論やらなんやで忙しくて、ただ日中遊ぶという機会すらもなかなかなかった。
ようやく諸々全部終わって卒業し、
社会人になるまで少し時間があいたところで
他の友だちも交えてみんなで遊ぼうという話になった。


彼と私は多分価値観が絶望的に合ってなくて、
セックスに関わる話をすると大概揉めるのだが
(それもそれで意味わからん)
昼にみんなで遊んでる限りはそんなことはない。
また、そもそも彼は自分が理解できないこと
自分と違う考えについて過激に否定するタイプだったのだが
久々に顔を合わせた彼はどことなく角がとれて
人の話に対しても
真っ向から否定することはなく、
多分そうなんだろうな、という相槌を打つようになっていた。
それは私に対してもそうだった。


彼は多分、人付き合いが苦手で
本当は一人のほうが楽なんだろうなと見ていて感じることがある。
一人でなんでもできるし、だから人の弱さに優しくもなれない。
でもそういった人も一人は嫌で
寂しいとは感じるらしい。
そういう人種が世の中にはある程度いることを
私は最近意識するようになっていた。


彼は彼女ほしさに最近出会い系を始めたらしい。
会社に入って出会いがあるとも思えないし
いろんな人と話がしたいという思いもあるし、とのこと。
ただ、動機は真剣であろうと
そもそも彼自身意思は強くないし、他人に対して真剣になれないところがある。
出会い系にいる子なんてだいたいそうじゃないのという私の偏見もあるが
実際彼女づくりとしてはあまり順調ではなく
1日デートして終わったり、成り行きでセックスしてお別れしたりしてるだけらしかった。


別に今更彼が出会い系を始めたこととか、
他の女の子となんやしてることについて悲しんだり落ち込んだりはしないが、
彼がなんとなく丸くなって、人当たりが良いような顔をするようになったのが
出会い系で知らん相手に対してするときの顔だとしたら
なんとなく気持ち悪いなぁと思ったりはした。
たくさんの価値観に触れて、多様性が認められるようになったのなら良いけど。


彼は変わろうと努力しているのだと思う。
自分のコンプレックスを改善して、
人なりの幸せを探しているだけだと思う。
私が出会ったときに勝手に思い込んで
勝手に好いていた彼はほんの一部だったどころか
彼にとっておそらく、なくしたい自分なのだろう。
流行りの服を着て、髪もワックスで整えて香水をつけて、
出会い系アプリで旅先のおすすめスポットを聞いてるようなイマドキの男の子は
なんだか知らない人のようで、
勝手に抱いていたわけのわからないでかい感情が
じんわり薄れていくのを感じた。
私だけいつまでも取り残されててもいけない。


加えて、普通の友達としてこれからも会うことはあるだろうが
一年誘われもしなかったし、多分相手にも困ってないわけだから、
もう私と寝ることはないんだろうなとなんとなく思った。
ならもう私も変に期待するのはやめて、彼に対して何か考えるのはやめよう
だから二人で会う口実になりそうなものは全部なくそうと思い、
借りてた漫画やらなんやらをとりあえず全部彼に返すことにした。
別にこれで最後!みたいな決意があるわけでもなく
特別な記念日にこの日をする気もないが
今までこうして二人で会ってたけど、もうそんなことする機会もなくなるよな
と思い出に浸る気持ちは、ほんの少しあった。

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