せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

姫初①

年が明けた1月1日。


この日は親戚へ新年の挨拶をしに行くことが私の毎年の恒例である。
今年いつもと違ったことと言えば
私だけ寝正月をして父母と初詣に行く定例をすっぽかしたことと、
一昨年免許を取った私の運転で祖父母宅へ行ったということくらいで、
やはり例に漏れず
親類と久々の会合を果たした。
それからしばし雑談などして帰宅した。


その後は特にすることもなかったので、
もらったお年玉を数えるなどして優雅に過ごしていたのだが、
そこに一通のLINEが届いた。



『今日の夜空いてる?』



時刻を1時になろうかという頃合い。
正直私はこの時間帯から外を出歩くことはないのだが、
この男からの誘いを何度か断っていたこともあり、目を引いた。


断っていた理由としては毎度時間が合わないためである。


彼はいつも気まぐれに、それも深夜に
ちょうどこのときと同じような誘いのLINEを送ってくる。
しかし私は実家暮らしの手前親の顔色をうかがわなければならず、
何をしに行くかも何時に帰るかも不明瞭な急用で夜間に家を出ることは不可能に近かった。
あとは次の日早起きをしなければならないのであまり気乗りしなかったことも大きな要因である。


ところで何をしに行くかも分からないと書いたが、
それは親に説明がつかないという意味で
彼が何がしたいのかは私からすれば明瞭だ。


彼は私とセックスがしたいのだ。


まず間違いない。
根拠は、彼と関係を持って以来、
こうして呼び出されてセックスをしなかった試しがないからである。
(ちなみに過去のブログに掲載している「詐欺」「こないだのセックス」「キスマーク」と同一人物。このあとにもう一回セックスしたが特に書くようなことがなかったので記事にしていない。)


おそらく彼の何人かいるセフレのうちの一人となって、
地元で呼び出せる女リストに名を馳せているのだろうが
そんなこんなで最近付き合いもタイミングも悪くかなりご無沙汰であった。


私もいい加減そろそろしたいなーと思っていたので
ひとまず彼のLINEに取り合ってみる。
とは言ってもやはりこの現在時刻…。
大学生にもなって成人もしてこんなことを言うのは面白みのない話だが、
時計に目をやった瞬間から
父を説得するのも面倒だしやめとこうかなぁ
という自制心が急速に増大した。


それと今日に限って言えば時間の問題よりも先に伝えなければならない事項があった。


『ちなみに私生理なんだよねー笑』


事実である。
なんなら明日彼氏とセックスできるかも怪しいなみたいなことを思っていた生理終盤のこの局面。
許してよね、私に罪はないよ。


何がしたいと言ってきたわけでもない彼に対して我ながら直球の返答だったが、
彼は取り繕うわけでもなく


そっかぁ、残念


と返してきた。
その後
別に話すだけでも良いんだけど、
とおまけのように付け加えた。
いや良くないだろ、お前そうやって話するだけとか言っていつもしかけてくるよ?


また誘うわ、、、
という彼の返答を持って会話が終了しようとしていたのだが、
せっかく連絡してきてくれたのに無理です、の一言で途絶えさせるのも味気ない気がして
取り留めもないことを送って場を繋いだ。


よく聞くと今日はご家族が外泊しているらしく、彼は部屋で一人暇を持て余しているようだ。
諦めたかのように見えた彼だったが、
この事実を私に話して改めて思いを強めたのか
こんなこと滅多にないし、部屋でゆっくりするだけでも、
と話を戻した。


なるほど、確かにこの状況はあるかないかくらいのことなのかもしれない。
彼の家にはいつもご家族の誰かがいるらしく、前回部屋にお邪魔したのは1、2年前に友達数人と押しかけたときだ。


あの頃は彼はまだ童貞だったのかな?


初めて部屋に入ったときに、
この部屋に彼の恋人が来ることも今後あるのだろうか、
ここで彼に触れられるならどんなに楽しいだろうか
と一人で妄想したことを思い出した。


彼は静寂の中に一人取り残されて心細いのか
来てくれたらうれしい、とか
少し話すだけでもいい、とか
普段なら言わないような素直な言葉を重ねた。


いつもならすぐ引き下がるのになぁ。
どうしたんだ、今日は。
冬休みだからかな。
そうだよ、正月なんだし今日くらい親も許してくれないかな?
親がどうとか言うの一番しょうもないよね…


私が一人で悶々としていると、さらなる追撃がきた。


『会いたいな』



負けた、行くわ。

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