せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

今日も釣り⑦

その日は先輩に車で職場まで送ってもらった。
そして帰りは先輩が迎えに来て、そのあと2時間弱散歩して帰った。


先輩はいろんなところへ連れていってくれる。
外遊びやらドライブが好きな先輩はここらへんのことには特に詳しいのだ。
その日は夜に人のいない観光地を練り歩いて、竹林を抜けて、山に登って、夜景を見て、ラーメンを食べて解散した。
こんな過ごし方ができるだけでも越してきた甲斐があるというものだ。


見せたいもの、連れていきたい場所がたくさんあると先輩は言ってくれた。
私とならきっと楽しいだろうと。
行く先に私がいればそれはどんなに良いだろうと。


結局どういう意味だったのだろう。



その次の日もなんなら家に来ると言っていたが、何かしらの理由をつけてこなかった。
着替えを持ってきてないとかなんかそんなことだった。
そもそもそんな頻度でうちに来るのも変だし、来てくれるという期待をしているのもおかしいのだが、
私はすっかりその気になっていたので、無性に恥をかいたような気持ちになった。
今日の夜はてっきり一緒だと思ってたのに。
曖昧な口約束しか交わせず、あっけなく破られても怒ることもできず、素直に欲求をぶつけて甘えることも許されない
そんな何者にもなれない立場に自分がいるのだという現実を目の当たりにして、
心底嫌気がさした。


その次の日は約束こそしてなかったが、
家に行くつもりで準備してきたけど体調がなんとなく悪いから帰ろうかな、
とわざわざ言いに来た。
来ないならいうなというのもあるが、なんでそんな気を持たすようなことをして、私をキープするのだろうとなんだかイライラしてきた。
何故気のあるようなセリフをわざわざ言うのだろう。
ここまできてもまだ無邪気という言葉で済まされるものなのだろうか。
自分が何にイライラしてるのかもよく分からなかったが、とにかくまた振り回されるのは嫌だと思い、先輩を煽ってみた。


そんなこと言ってまた来ないんですね?
わざわざそんなことだけ言いにきて結局来ないんですよね?
あーあ、良いですよ別に来る気がないなら。その日の気分で調子良いことばっか言って。
ほんとやだな私だけその気になって。これだからチャラい男は嫌いなんですよ。


こういう言い方をすれば先輩はムキになるし、見栄をはるし、天邪鬼になるのを本当は分かっていた。
先輩は家に来た。

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