せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

社会人③

入社したばかりの4月。
私がリモートワークで彼は仕事が比較的早く終わる日に約束をした。
お互い次の日が休みだったので久々の泊まりかな?と思ったが
家で休みたいというのでそれはなくなった。
昔はゆっくり遊んでたのに、会うほどに用意されている時間が短くなる。
まぁそんなことを嘆いていても仕方ないが。


彼のほうが先に仕事を終え、なんなら家に帰るくらいの時間があったようだが
私がスーツフェチなのに配慮してそのまま待ってくれていたらしい。
うーんいいっすね〜
褒めても全然嬉しそうじゃないけど。
合流してからすぐ歩き出し、
コロナで仕事がどうやとか、休みがどうやとか言いながら
何を言い合うでもなくホテルに直行した。


部屋に着いてから彼はソファにどかっと座って
あー疲れた。帰って寝たい。
というようなことを言っていた。
ほんとに何をしに来たんだろうなこいつは。
顔だけ洗いたいと言って突然立ち上がったり、
テレビをつけて映画のラインナップを確認したり
どこか落ち着きがなかった。
久々だから距離感を忘れてるんだろうか。


半ば呆れながらも、なんともない顔をして座ってると、ようやく彼も一息ついた。
そしてそのまま腕を肩口に回し、耳をくすぐった。
思わず、んっ、と声を漏らすと
こんだけでもうそんな気分なれんの?
簡単すぎない?
とムードもへったくれもない声で意地悪を言われた。
マジでこの人何しに来たんだろう?
私としたかったんじゃなかったのか?


ただこうやって揚げ足をとって自分の機嫌を損ねていても仕方ないので気にしないことにして
私からキスをしようとした。
しかしまた意地悪されて顔を背けられた。
私が不貞腐れていると今度は強引にキスされた。
こういうテンポ感にきゃっきゃするMのセフレがいるんだろうか。
こいつはいつもこんな感じだ。


なんやかんややってるうちに楽しくなるものだけど
この日はどことなく俯瞰してる自分がいた。
ベッドにいこうと手を引き、見つめ合っても不思議な気持ちだった。
なんだか変に緊張ばかりして脇汗がやばかったのをいじられた記憶だけある。
没頭してないような浮ついた空気がずっと漂っていた。

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