せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

今日も釣り⑥

朝7時頃、日の光で完全に覚醒した先輩はただ寝ころんでるだけだった。
先輩が昼まで寝てたなんて話をほとんど聞かないので、
夜更かしをしても朝には目が覚めてしまうタイプの人間なのだろう。
私はというと、寝られなかった分は昼だろうと夕方だろうと寝て取り返すタイプなのだが、
ばっちり目覚めて私を撫でている先輩を見て、私まで覚醒してしまった。


仕事は昼からなので起きるにはまだ早いし、もう少し体を休めていたい。
とにかく目をつぶって寝直そうとする私を先輩はひたすら優しくなでていた。
いやらしい手つきではない。興奮させるような意図もない。それが感じ取れるほど優しい。
布団に潜り込んできた猫にそうするように、寝つきの悪い妹あやすように、
私をそっと撫でたり、ぽんぽんと宥めたりした。
だが、肩口や腰のあたりもそうやって撫でるので、私はだんだん熱くなってきて、
落ち着いて寝られる精神状況じゃなくなってきた。
要は私が先に発情してしまった。


何も考えず無心になろうと意識を手放そうとしたが、
先輩の指先に気を取られてどうにも思うようにいかない。
文字に起こすと先輩がわざとやって煽っていたように見えるが、本当にそんなことはなかったのだと思う。
ただ手癖なのかなんなのか、神経を指先ですーっとなぞったり、腰をさすったりするもんだから、落ち着いていられなかった。


あんまりにも続くので、思わず先輩に
それ、弱いのでやめてもらえませんか……
と声をかけた。
ん?何が弱い?
と全く分かっていないような返答をしながらも先輩はやめなかった。
むしろ逆にエスカレートした。
この人あれだ、やめてって言ったら絶対やめないタイプのSだ。


さっきまでは無意識にやっていたようなことを、今度は意図をもってわざとやり始めた。
腰や背中を指先でくすぐったり、優しく撫でまわしたり。
今度は確実にいやらしい動きだった。
自分がどんどん発熱するのが分かった。
普段ならこのまま成り行きに任せていくとこまでいくのだが、相手は先輩だ。
どうなっても良いとは思ってたが本当にどうにかなったらさすがにまずいんじゃないか?
明日どんな顔で仕事に行くんだ?
本当に今更だが、このまま性的なことに突入するのは良くない気がしてきた。
だが、頭でどれだけ理性的なことを思っても体が全然いうことを聞いてない。
全く嫌がってない。
やめてやめてと言いながら逃げもしない。
先輩を押しのけて布団から出れば良いだけのことなのだが、そうしなかった。
息も上がってきて、声も上ずって、体がどんどん敏感になる。


これ、もう前戯ですよね…?
私がおどけて聞くと
これは前戯だね
と先輩は笑った。


そうしているうちに目覚まし時計が鳴って、
強制終了となった。

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