せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

寝取らせるもの、寝取られるもの

私の彼氏はとても良くできた人間だと思う。
考えもしっかりしてるし、まともな正義感や常識を持っている。
彼は考えるということをきちんとするし、言葉にすることもできる。
嫌なところはすぐに言うようにしてるので特に今は何も思いつかない。


とにかく私は彼が好きだ。
好きなところを並べるとキリがない。
しかしそんな彼にも人には話せない特異な点がある。
それが「寝取られ性癖」。
彼を本当に理解しようと思うのならこの性癖を理解しなければいけない。
付き合う前は彼にそんな性癖があるのは知らなかった。
そしておそらく彼のこの性分は付き合っている最中にエスカレートした。


そもそも寝取られ性癖が何かというと、
自分の彼女や妻が他の男性に寝取られる、つまり性行為などに及ぶ姿を見て興奮してしまうというもの、
らしい。
そんなものがあることはぼんやり知ってたし、そういう漫画も読んだことかある。
しかし到底理解もできず、妻の堕ちていく様を見ながら涙を流して自慰をする夫の絵などはどちらかと言えば切ないバッドエンドだろうと思っていた。


彼からこのカミングアウト?を受けたときのことをあまりはっきりは覚えていない。
おかずの1つ、という程度であれば特に引くこともないし、そういう嗜好があるだな、ふーんで終わりだ。
だが、まさか自分がそこに置き換わるとは考えていなかった。
彼女が他の男と寝たら嫌じゃないのか?
それがどうにもほんとに拒否感はなくて、嫉妬は確かにそこにあるが、それが興奮につながるのだ
という彼の気持ちの動きに気づくまでにはしばらくかかった。
私はといえばそれに関しては全く共感できない。
なので何をするにもやるにも彼の機嫌はいまだに気になる。
こういうことを言えば(寝取られ的に)喜ぶんだろうな〜とかこうすれば興奮するだろうな〜みたいなことは少し分かってきた。
しかし細かいボーダーは難しいし、私ならこう思うという基準が全く役に立たないので
彼と密に話し合いをする必要がある。


彼と話をしながら、私は彼氏がいながらこれまで何人かの男性とした。
彼の寝取られに対する興奮のシステムは私には全く適応していないが、彼氏に渋々付き合ってこういうことをやってるのかと言えばそんなことはない。


私は私で他者に興味があった。
恋愛感情の外で、その人との行為を想像し妄想を膨らませていたのは彼と付き合うよりもずっと前からだった。
その人がそのときどんな顔をするのか、どんな声を出すのか、私を見て何を言うか、何を思うか、それが気になる。
普段は見られないその時だけの表情を独占することができる。
その特別感を思って興奮した。
そしてある意味、セックスは日常ではたどり着けない高等なコミュニケーションだという持論にたどり着いていたのである。
それこそ大きな声では言えないし、ビッチがヤルことを正当化するために何か喚いていると捉える人もいるだろう。
しかし私にとってセックスは誰とするにしても性処理以上の意味のある行為であり、それは彼とするときとはまた違った意味合いがあるのだった。
…と、自分の話が長くなったが、
そういうわけで、彼氏以外と性行為に及ぶことには抵抗がほとんどない。
もちろん人は選ぶが。


するの自体は良いとして、それを彼が嫌がらないことは先程も書いたがしばらく悩まされた。
腑に落ちないというか、納得がいかないというか。
愛があれば不快感を持つものなのでは?という社会の多数決による洗脳を受けてそういう価値観を持っていた。
私自身、独占欲が強いため、彼が私以外とそんなことをするのを想像しただけで自殺したくなる。
また私がそういうことをしたのを良いことに、彼が
俺もしていいよね
と言い出すのでは?という疑心もあった。
だが、彼は私の気持ちを受け止めて何度もしつこい問答に付き合ってくれて、私の心を癒してくれた。
そうしているうちに私が心配するようなことは何もないんだとだんだん分かってきた。
彼が不快に思わず、また変わらず私を愛してくれること、
また彼は絶対に私を理由にそういうことをしないということ、
この事象に確信が持てればなんの問題もなかった。


ここに、寝取らせるもの、寝取られるものの関係が成立したのである。

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