せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

姫初 完結

タオル敷かなくて大丈夫かと聞くと
まあ、大丈夫でしょ、
と言いながら上体を起こした。
汚れても知らんぞ〜。


立ち上がって脱げかけのズボンを下ろし始めたので私も同じくベッドから降りた。
見られるの恥ずかしいからこっち向かないでねと言うと、
素直に壁際を向いてくれた。
姉のを見たことがあるからなんとも思わないけどね、とブツブツ呟いていたが。
お姉さん…。


どこからかゴムを取り出し、手際良く装着した。
いつもはホテルに常備されているものを使うので、こうやって彼が自前のゴムを取り出すところを初めて見たかもしれない。
そら持ってるよな。


いつもは彼が仰向けに寝てるところから始まるのだが、今回は私が下だった。
そっと脚を開くと彼が割って入ってきた。
汚れることは気にならないとのことだが、手は使いたくないらしく
入口の場所を把握するのに手こずっている。


私が軽く誘導すると、そのままゆっくり中に入ってきた。


いっ………てぇ


やっぱり解してないからきつい。
いくら興奮して濡れているとはいえきつい。
裂けるような痛みはないが、明らかにいつもより抉じ開けられるような感覚がある。
私が眉をひそめて呻くと、


痛いな、ごめんな、
ゆっくりはいるから、頑張ろうな


とめちゃめちゃ優しい声で囁いた。
私がいたい、と言うとその度に
いたいな、ごめんな
と繰り返しあやすように言う。
その声に溶かされるように、少しずつ彼のを受け入れた。


全部入ると、彼がゆるゆると動き出した。
まだスムーズに動けるほどではないが、最初ほど辛くない。
彼が私に跨るのは久々な感じがする。
彼の言うように前より腰の振りが自然だった。
一体何人抱いてきたんだか。
私にそれを披露するの遅くない??


多少強引に広げられている感じがあったが、
私をいたわりながら優しくセックスしてくれてることに興奮してだんだん良くなってきた。
濡れてきて動きやすくなった、
と彼に言われて余計に意識してしまった。


気持ち良さそうな彼をこの角度で見られるのやっぱりいいなぁ、
正常位最高。


すると、今度は後ろからしようと提案してきた。
うわーバックも久々だな!


言うとおりに四つん這いになって彼のを待つ。
やはり手を使いたくないらしくまた入口を見失って彷徨っている。
先程の正常位で十分に潤ったそこは受け入れ体制万全でなんとももどかしい。
思い切って突っ込め!
と耐えかねて訴えてしまった。


彼のがぬるりと侵入してくる。
やっぱり、入るときが最高にやばいなこいつのは。
彼も良さそうで、
何度も気持ちいい、と言いながら私の腰を揺すった。
私が律動に喘いでいると、
いきなり尻肉をぎゅううと掴まれた。
たださすがお尻、肉が厚くて全然痛くねぇ。
急にどうしたのかと思ったら、
ごめん、調子乗った
と言って彼が達した。


彼のが脈打つのが分かる。
どくっ、どくっ、と中に吐き出されているような感覚。
疑似中出し。


彼は一瞬固まって、
マジでごめん…………
と謝った。


何を謝られているのか分からなかったが、
どうやら早くイッてしまったことに自己嫌悪しているらしい。
ほんとにごめん、
と心底申し訳なさそうに言うので笑ってしまった。



抜いたあと確認してみたが周囲は汚れてなさそうだ。
ぬるぬる出てたのは血まじりの液体のはずだが、特に気になる汚れもない。
ひとまず安心か…。


彼はゴムをはずし、下着に脚を通しながら
あー、ほんとにやってしまった……
とボソボソ嘆いていた。
そんなに気にしなくても、と私が言うと
だってもっとしたかったから!
と語気を強めて言った。


確かに、2回目ができないのは良いとしてこいつ出したら寝るもんな。
それならもうちょい粘ってほしかったかなぁ。
特に気にしてなかったがあんまりにも謝るのでだんだんそんな気がしてきた。


時間も良い頃合いで、彼も眠そうな様子だったので
とっとと着替えて帰ろうと思ったのだが、
私が下着を付け終わるとそっと引き寄せられベッドに2人で倒れ込んだ。


眠たいならちゃんと服着て寝なさいよ、
私もう帰るから!
と起き上がろうとすると
寝ないからもう少し一緒にいよ
と言って私を抱きしめた。


絶っっっ対に寝るのはもう経験でも声色でも分かっている。
ましてや4時半に帰れと言われていて今は4時。
私も私で睡眠を取りたいのだが今ここで寝たら二人して目覚めるのは昼頃だろう。
となるとやはり早いこと退散するのが賢いと思うのだが…


彼の体温の心地よさに負け、
絡みついた脚の重みにしばらく身を委ねることにした。



数分と経たず彼は寝息をたて始めた。
彼にとってイクことは相当体力を使うことなのだろう。
それかイった後に爆速で眠ることが習慣化してしまっているため睡魔が連動しているのか。
なんにしろ彼が眠るのは今のところ100発100中だ。
ピロートークタイムは彼が下着をはいて布団を被る作業中のみ。


まあいいんだけどね。


もしこれも私に対してだけで他の子とはもうちょっとゆったりしてるとかだったら絶対にぶん殴ってやろう、
そう決意しながら私はそっと布団を抜け出した。
起きる気配はない。


物音を最小限に散らばった服をたぐり寄せ、袖を通した。
そのあとはしばしストーブの前で暖をとりつつ、遠目に彼の寝顔を眺めた。
気持ち良さそうに寝ている。
そのあと改めて部屋を見渡す。


高校の参考書。


今は使っていないらしい見覚えのあるリュックサック。


物置と化した勉強机。


飾られたサークルの寄せ書き。


古いたんすと古いストーブ。


この部屋を使い始めたのは4、5年前ということだが、それを裏付けるように
彼が入居する以前からある古ぼけた家具と私が知る彼と知らない彼とが混在し
異様な雰囲気を持った部屋だ。
彼が今寝ている折りたたみ式のベッドも畳と絶妙にミスマッチである。


バイトで帰りが遅かったり、サークル仲間と飲んだくれたり、セフレの家に転がり込んだりと充実した大学生活を送っているらしい彼は
この部屋にほぼ寝に帰っているだけなのかもしれないなとふと思った。


約束の時間あたりになっても彼は目覚めないので、
ベッドの端に腰掛け、彼の肩をつついた。
もう時間だから帰るね、
というと寝ぼけた彼はまた私を布団に引きずりこんだ。


寝ていたことを誤魔化すためか、努めて普段通りの調子で
今までベースでやった曲の中で一番難しかったのはなに?
と聞いた。
私の担当楽器はギターですよお兄さん。
誰とお話してるんですかぁ?


は?と言って私が吹き出すと、彼も自分が珍妙なことを口走ったのに気づいたらしく
俺、今何言った?
と少し笑い、そしてまた眠りにつこうとしていた。


私も落ち着いてゆっくり眠りたいし、朝に飛び起きた彼に追い出されるのも嫌だったので、
意を決して布団から出て、
今度はコートとマフラーを巻いてからもう一度声をかけた。
今日は誘ってくれてありがとうね、
帰れるからこのまま寝てて良いよ。
すると彼は
いや、見送らせて、
と言い、やっと体を起こして急いで服を着た。


私達2人しかこの世界にいないと錯覚するほど静かな朝だった。
冬の5時前は太陽もまだ目覚めていない。


家の前まで見送りに出てきてくれて、私が自転車を漕ぎ出すまでそこにいた。
なにせ寒く薄着で出てきた彼がガタガタ震えているので、
手短に挨拶を済ませたような気がする。


特別なような、
いつも通りなような。
ご無沙汰だったので、彼に誘われることはもうないんじゃないかと思っていたのだが、
今年もこうやってズルズル引きずられて過ごすんだなと、なんとなく確信した。



私らしい新年の始まりであった。

姫初⑥

私がそっと下腹部にあたりに手を這わせると、自分でチャックを下ろし始めた。
もうガチガチだ。
舐めていい?と聞くと
うん、と返事をしてズボンをずらした。


彼の様子を上目遣いに確認しながらゆっくり舐め上げ、口に含んだ。
快感に浸るように目を閉じる。
はぁ、と息を吐いた。
気持ち良さそうだ、
良かった。


口に咥えて「らりるれろ」って言うと気持ちいいらしいよ、
とふと彼が呟いた。
なんだそれ、初めて聞いた。
私はとりあえず言われたとおり、彼ので口をいっぱいにしながら
ら、り、る、れ、ろ
と発音してみた。
しかしそんなに良くはなかったらしく、
なんか滑稽だな、
と笑われた。
こいつほんとに失礼だな?


まあおそらく発音するんじゃなくて舌の動かし方の話なんだろう。
習得できるまで続けたいところだったが
笑われたのでそれ以上試すのはやめた。


また元のようにしゃぶっていると、
口でしてもらってるとこういうことしたくなるんだよな〜
と言って
私の頭を押さえつけ、喉奥に自分のを突き立てた。
しかし、もはや恒例となったこの拷問に対して今更驚きもない。
また呼吸の整え方もなんとなく分かってきたため、
実はぼやっとやり過ごせてしまう今日この頃だ。
とはいえ苦しがらないと喜ばないわけで…


解放されたときに唾液混じりの咳をしてみせた(こんなんで良いのかは知らない)。
すると彼はお決まりの無責任な笑みを浮かべ
ごめん、
と半笑いで言うのだった。



今日は最後までできないからこのまま口の中に出してもらって
それをごっくんするのを目標にしていた。
いつもは必ずセックスするのでそういや口でイッたことがない。
そう考えるとこれはこれで良い体験か、と自分の中でまとまりつつあったのだが
そんな矢先に彼がぽつりと


やっぱ中が良いなぁ、
と言った。


まあ中より口が良いって言われるのはなんか嫌だからありがたいご意見なんですけども…


うーん、だって生理だからさ、
と私が困ったように言うと
分かってるけど、したくなっちゃうなぁ…
yukiの中めちゃめちゃ気持ちいいからさ、
と相手も困ったように言った。
なかなか煽ってくるなぁ。


最後までできないねというくだりは今日で何回目か分からないが、
ここに来てなかなかしつこい。
んー、生理中にする趣味はないんだけどなぁ。
汚いし、汚れるし、気分の良いものではないだろう。
終盤なので量は少ないんだけど、とは言っても…
私がまごついていると、
俺は別に気にしない、と追い打ちをかけてきた。
はーん
じゃあ、



やってみる?


「うん。」


汚れても知らないよ。


「うん。」




結局こうなるかぁ〜笑

姫初⑤

その後で、
でも俺そろそろネタ切れだなぁ、
と彼は夢から覚めたように言った。


確かに彼がいつもやってくれるようなことはひと通り終わった。
時間にしてみればまだそんなに経ってはいないが、
下に触れないというのが選択肢の幅を狭めているのだ。
彼は同じところをいつまでもねちっこく触ってるタイプではないのでそろそろ次に移りたい頃合いだろう。


私はというと、
今日ははじめから口に出してもらって帰るつもりだったのでそのタイミングを計っていた。


彼の場合、
出したら寝る。


これはすなわち、この場がお開きになることを指す。
約束の時間まではまだ1時間以上あるので、もう少し粘りたいところなのだが
彼が疲れてしまってはやむを得ない。


私が口でしようか?
と提案すると、
してほしいけどその前にトイレ行きたい
と言って起き上がった。
それから
でもトイレ行ったあと咥えたりしたくないよね?
と聞いた。


この質問何回目?
私は全く構わないといつも言ってるんだけど、こんなに聞くということは
頑なに嫌がる知り合いが近いところにいるということなのか?()


前もそんなこと言ってたね〜、私は全然気にしないよ!
そんなに聞くのは自分だったら嫌だなってこと?
私がそう聞くと、
いや、特に深い意味はないけど…
と尻すぼみになって、それから半裸のままトイレに向かった。


そのまま行ったらさすがに寒かろうて。
なんで何も着ないんだ。
そう思いながら私も服を着るでもなく静かに火を眺めた。


程なくして彼が帰ってきたので、
私もついでに済ませようと腰を上げた。
震えながらストーブの前に座り込む彼を尻目に
私は寒いから服着ていくからね〜、
と主張して脱ぎ散らかした衣類を漁る。
すると彼は
俺の貸してあげる、
と言って私にさっきまで着ていたパーカーを着せた。
ん?なぜ?


着る前から分かりきっているが、彼のパーカーはブカブカで、
持て余した袖がぶら下がっている。
あっという間に着せられ、正しい反応の仕方が分からなかった。


彼も特にコメントしないので、とりあえずトイレに向かう。
ぱたぱたと階段を降りると、パーカーから彼のにおいがした。


これ、彼シャツならぬ彼パーカーじゃん


ふとそんなワードが浮かんで急に楽しくなった。
足取り軽やかに部屋に戻って、
これめちゃめちゃ良いにおいするよ〜
と機嫌良くかいで見せた。
すると彼は全体を見るように目線を移動したあと
服の上から少しだけ体を撫でて
もう回収〜
と言って脱がせた。
なんか言えよ。


特に何という感想もなくあっという間に取り上げられてしまったが、
着てきた服が手の届くところにあったのにわざわざ貸したのは自分のを着せたかったからだよな、
と一人で結論づけて愉快な気持ちになった。


彼はまた私の胸を柔く揉んで
エロい体になったなー、
と繰り返し言う。
それから
私とすると中がめちゃめちゃ気持ちいいんだよなぁ
と続けた。
よく中褒めてくれるけど、それは他の人と比較してもそう?
私はなんとなく相性が良いような気がしてるんだけど、
としばしば思っていた疑問を投げかけると、
うーん、どうだろう
前の人ともだいぶ時間が空いてるから比較とかできないなー
となんとなく有耶無耶にされた。
私は本気で中の相性は良い方なのかなと思っていたのだが、案外強い共感を示す反応はなかったのでこれ以上言及しなかった。


その代わり時間が空いてるというところには
私、何も信じてないからな、
としっかり反応した。



「彼女今はいないの?」


「なんで?笑
いないよ〜」


「どうだかな、
信じてないからな。
してないとか言うのも信じてないから。」


「そういやキスマーク付いてたことあったな笑」


何も面白くねぇよ、ぶっ飛ばすぞ。


そっちはしてないの?
と振られ、なんと答えるか一瞬考えたが、
してないねー
と答えた。
別に私は隠す必要もないんだけど。
私ばっかりぺらぺら喋るのもなんだか癪な気がした。
だけど、私の迷いを読み取ったのか
ほんとに?嘘付いてたら怒るよ、
と言って乳首を強く抓った。
いきなり力技に出るな、幼稚園児か。


私も乳首抓るくらいすれば吐くのか?という思いがよぎったが、
とりあえずここは白を切って場を凌いだ。


信じてないからな、という私の発言に対しても
彼女についても
ふわっと否定するくらいで今までのように強くは反論してこない。
なんならヘラヘラ笑ってどちらか分からないような態度を取っている。
まあ私がやってるのはかまかけでもなんでもなく事実に基づいた質問だからな。


私とは騎乗位ばっかだけど、他の子とは別の体位はしてるの?
そう聞くと
普通にするよ、
そういやyukiとは騎乗位が多いね
とあっさり答えた。


いや多いとかいうレベルじゃないんだけど…。
他の子とはちゃんとしてるという事実に引っかかったが、
まあやっぱそうだよな、
と落ち着いて返事をした。


私が舐められてるとか思いたくないけど、
私は練習台で良いからありのままが見たいと気持ちでこういう関係になった。
そこらへんはもう仕方ない。
今になって思えば彼は初回から童貞じゃなかったから私が練習台になる意味はよく分からんけどな??


私とは正常位1回しかしたことないじゃん、
またしたいなぁ、
と言うと
多分前よりは上手くなったと思う、
と言った。
そんな話をしながら布越しに彼の膨らみを腹でさすっていると、
そっちもそういうの上手くなってるよな、
と間を空けて付け足した。


彼はこっちが攻めると基本抵抗する。
特に初めてしたときなんかは結構力づくで止められたりして、
私はなんとなくこちらから動けずにいた。
とは言っても回を重ねるごとに彼の抵抗も弱くなってきて、
私も少しは好き勝手動けるようになってきた。


その旨を伝えると、
じゃあ好きにして良いよ、はい
と言ってだらんとベッドに伸びた。
急に緊張するからやめてそれ。


とりあえず首筋に舌を這わせ
それから耳に軽く歯を立ててみる。
好きにしろと言ったくせに彼は一瞬私を押しのけるような動きをしたが、
また再び力を抜いてされるがままになった。
反射的に抵抗してしまうのだろうか。


時折体をびくつかせ、
ん…っ
と喉奥から声を漏らす。
普通に良さそうだな。
胸を舐めると私に触れる手に力がこもった。
そうしていると彼は少し笑みを浮かべてから
攻めるのが上手な子としたら楽しいなと思う、
みたいなことを言った。
何故かニヤニヤしてるのはなんとなくその話をするのが後ろめたいからか?


他の人としたときに感じたことをこうやって自分から口にするのはあまりない。
今日はたくさん質問をしたので、オープンになっているのかもしれない。
攻め上手な女が過去にいたという話は正直死ぬほどどうでも良かったが、
私にほとんど攻めさせない彼が
攻め上手な相手だと楽しい
と言い出したことに驚いた。
私はどうしたら良かったんだろう。
下手くそだから拒絶されてたのか、拒絶されても続けないといけないやつだったのか…。
もっと好きにして良かったんだろうなぁ。



彼の一挙一動一言一句に気持ちを揺さぶられる。


こいつと会うと情緒不安定になるからほんとにやだ。

姫初④

興奮するって言葉に興奮する。
彼が私で興奮してくれているという事実がたまらなく嬉しい。


私からキスすると今度は素直に応じてくれた。
しばらくしていると、いつもするみたいにキスしながらブラを外そうと後ろに手を回した。
しかし珍しく手こずったようで
これなんか難しいな、
と顔をしかめるので思わず笑った。


座り直して改めて彼と向き合うと、今度は手こずることなく外せたようだ。
引っかかっているだけになった肩紐を下ろして、彼は私の腕から下着を引き抜いた。
私だけ身ぐるみを剥がされ心もとなく思っていると、
この日は私が何か言う前に彼が自分から服を脱いだ。


特に鍛えられているわけでもないのだが、
高身長のためなのか、男の子の体だなぁといつもじっくり見てしまう。


彼はまた寝転び、私を引き寄せた。
肌と肌が直に触れ合う。
体温がそのまま伝わる。
溶けて混ざり合うんじゃないかという陶酔感。


あー、俺裸で抱き合うの好き笑
と彼は口元を綻ばせた。


ほんとは全部脱いで素肌どうしで脚を絡め合えたら最高なんだけど、
今日は生理なのでどちらも下半身には手をつけていない。
それでも十分に彼の言ってることはわかる。
これだけですごく良い。


彼は私の背中を指先ですーっとなぞり上げた。
これが快感なのか生理現象なのかいまだにわからないのだが
ぞくぞくとした感覚が走り、体を仰け反らせてしまう。
指先でくすぐったり、優しくさすったり。
彼から与えられる微かな刺激を追って体が勝手に反応する。


胸や性器を触らずにしっかり時間をかけて気持ちを高めていける人はセックスが上手いなと思う。
こいつ回を重ねるごとにちゃんと慣れていってるよなー…。


なんか上手くなってるよね、どんだけの人としたの?
と笑い混じりに聞くと、
えっ笑
と笑うだけで今度はちゃんとは否定しなかった。
なんか腹立つなぁ。


どこの誰とも知らん女とセックスして上達していってると思うとどうにも落ち着かなかったので、
私も興奮させてやろうとめちゃめちゃに舌を絡めてキスしてやった。
それから腰をくねらせて、ズボン越しに彼の股間をしごくように下半身を擦りつけた。


抱き合ったときから薄々気づいていたが彼のはもうガチガチだった。
硬くなっていることに満足して続けて体を押し付けていると、
そっちも上手くなってるよね…
と若干上ずった声で私を見上げながら言うのだった。


彼はそれから胸をそっと触って、
大きくなった?
と聞いた。
そんな自覚はなかったので、また適当言って持ち上げるつもりなんだなと思っていたが、
普段胸をほとんど揉まない彼が何度も触っては「絶対大きくなった!」と言うのでなんだかそんな気がしてきた。
後で考えたら生理だから張っていただけなのだが、このときの私にその発想は降りてこなかった。


彼は私を抱いたまま起き上がって、胸を舐めた。
直接的な刺激に思わず声が出てしまう。
ふふっと彼が笑う。
軽く甘噛みされ体が反り胸を突き出したような姿勢になってしまった。
それを支えるように彼が背中に腕を回して首筋にも噛み付いた。
こっちは結構ガブリといかれた。
ほんとに食べられるかと思ったぜ。


されるがままの快感を受け入れながらふと壁に目をやると、
ストーブの灯りに照らされた私達二人分の影が大きく映し出されていた。


うわ。


自分の体。彼の体。
やはり男女の体格は全然違う。
私の腰のラインと彼の大きな背中が対照的に映る。
体が混ざったり離れたりしてる。


私が思わず、
影、すごい…
と呟くと、
めっちゃエロいよな、俺も気づいてた、
そう言いながら私から体を離して影に目をやった。
胸のラインがくっきりと映るのを見てにやりと笑った。
意地悪だけど嫌いになれないなぁ。


あー最後までできないのにこんなことばっかりしてしまう!
彼が急に我に返って嘆いた。
そうだね〜、全部したくなるよね〜、
私は同意しつつ彼の言いたいことを代弁したつもりだったのだが
彼はわざとらしい笑みを浮かべて
今日は前戯だけの日だね
と言った。


彼の笑顔が胡散臭さを増していた。

姫初③

明日(今日)の午後からバイトがあるらしく
LINEでも泊まりは無理だと言われていたのだが、
ここで改めて何時までいていいのか尋ねるとそのときの答えより若干伸びていた。
時間の制約はガバガバなわけだ。
というかちょっと楽しくなってきて時間を伸ばしたのか?
だとしたら可愛いな。


私が一人でにやにやしてると、
そういや髪色変わった?
と私の髪を優しく掻き上げて聞いた。
彼は髪を触るのが好きなのか、触ると喜ぶと思っているのかよくこういうことをする。
これだけで少しドキッとしてしまう自分の単純さが悔しい。


適当に受け答えしていると、次は私を抱きしめていた手でお腹の肉をつまんできた。
こいつ…
ちょっとぷよったんじゃない?笑
そんなデリカシーのない発言をする彼を心の中で睨みながら
正月太りしたんだよ〜!やめろー!
と抵抗すると、さらに調子に乗って服の中に手を入れてお腹をつついた。
いきなり素肌に手が触れてその先のことを連想してしまったが、
俺の手冷たいな、ごめん
と手を引き抜いて服を戻した。


本番ができないと分かっている女に手を出すかまだ決めかねているのだろうか。
お前、手を出さないとかどーせ無理なんだからさぁ…
と思いながらもこうやって葛藤してるのはなんだか面白かった。


それでもつい触れてしまうらしく、
彼はそっと首に口づけてそのまま耳を甘噛みした。


私を包む腕は確かにそこにあって、
体温が背中から滲んでくる。


どきどきしてる、笑
と煽ってくる彼が触れてるのは心臓ではなく横隔膜あたりで、
私の体がどくどくと脈打つのを手のひらで感じ取っていた。
胸に触らないのはここが砦だからなのか、焦らしのつもりなのか。


最近してないの?
という私の質問ももはや恒例。
それに対して
うん、全然してない
と嘘かほんとか分からないことを彼が言うのもいつもの流れだ。
こんなのは通過儀礼みたいなもので彼の言葉に信憑性なんてもはやない。
それでも私は同じことを聞いてしまう。


すると彼は私の耳元から唇を離して、抱きしめていた腕で私の首を絞め上げた。
突然のことに驚きながらも
こういうパターンもあるのかぁ、と呑気なことを思った。
拘束が解けて必死に息をする私に、
いつものように無責任な笑顔で
ごめん、笑
と言った。
まともそうに見えるやつほど異常だったりするのが世の条理だなぁ。


誰にでもこんなことするの?みんな受け入れてくれるものなの?
と半笑いで聞くと、
いつもはしないし、そもそもそんなにしてるわけじゃないから!
と抗議された。
絶対嘘だろうけどな〜。


私にはしたかったらしても良いよ、
と耳打ちすると、首に手をかけ
キスをした。


久しぶりに彼とキスしたな。
なんならもう誘われることはないだろうと思ってたんだけど。
やっぱり最終手段の私なんだろうな。


私はもっと欲しくなって自分から唇を啄んだ。
それに気を良くしたのか、
また私が近付こうとすると後ろに首を引いて逃げ、近づいてきたかと思ったら頬にキスをして私を焦らした。
ねぇ〜、
と私が睨みながら追いかけ、それから諦めてそっぽを向くと
彼は私の髪を束で鷲掴んで自分の方に顔を向けさせ、強引に唇を重ねた。
痛みを感じるような動作でもないがその乱暴さに少し驚いた。


何かを見てそれをやってみたくなってしたのか、
普段からしていて特に大したことでもないのか、
興奮してつい乱暴になったのか、
私が喜ぶと思ってしているのか。


彼が私の知らない新しい一手を見せてくる度に事細かく言及したくなるけど、
雰囲気に飲まれて何も言えなかった。


柔らかい唇が私の唇を啄む。
何度も何度も。
そのことで頭がいっぱいになってしまう。


不意に彼の舌が私の唇を舐めた。
それが中に入りたいという意思のように感じられて、私が少しだけ口を開くとわずかな隙間からぬるりと侵入してきた。
舌を絡め取られ腰の奥が甘くうずく。
あー、キスって気持ちいい。


彼がベッドに仰向けに寝転がって、
上に来て、
と言った。
被さるようにうずまると彼のにおいに包まれた。
腰あたりに手を回され、より重なりが深くなる。


普通は女の子が下なんだろうけど、俺はこのほうが好きなんだよね、
と笑いながら彼は回した手に少しだけ力を込めた。
確かに男の子が押し倒して行為が始まるとすれば女の子は下か。
だが、彼氏がいつも上に乗れと言うので私からしてみればあまり違和感のない構図だった。
彼氏がいつも〜とあえて言うのも興ざめかと思い、
そうかな?私はこれ好きだなー
と答えておいた。


服を押しのけた手が背中から忍び込んできた。
無意識に鳥肌でも立ってたのか
やっぱり冷たいな、
と囁いたが今度はやめることなくそのまま背中を這わせた。


ひんやりした指先が体をより敏感にする。
私が身をよじらせると上体を起こすように言われ、従うと服を脱がされた。
露わになった下着の上から胸元に顔をうずめた彼は
あー、良い匂い、すごい興奮する…!
と言ってそのまま私をぎゅっと抱きしめた。


こんなんもう後に引けないでしょ。
私をどうする気なの?