せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

社会人②

彼と夜に会う約束をしたのは本当に久しぶりだった。
こんなわけのわからん関係になる前は
夜と言わないまでも夕方に漫画の貸し借りとかで
二人で会って、それから公園でいつまでも長話したりなんかしてた。
それが関係を持ってからは、彼が少し話そうだの散歩しようだの夜中に突然LINEを送ってくるときは
だいたいヤりたいだけで、話だけして解散することなんかなくなっていた。


漫画なんかどこでも返せるし、私が家の前まで行こうと思ってたけど
せっかくなら少し話そうということで、
お互いの家の中間地点に待ち合わせし、近所の公園に移動した。
こないだみんなで会ったときに聞きそびれたことやら、
彼が丸くなったことについてとか、
いろんな話をした。
基本的に他の友達の話や、就職先の話をしていたが、
なんとなく盛り上がってくると、やっぱり
最近どう?笑
みたいな質問が出る。


いつもは、他の女の子の話をされると何を言っていいのか分からず、
逆に私の話に関しても、質問してくるわりに
アバズレヤリマンクズビッチと必ず私を見下すので話したくなかったのだが
特別な気持ちが薄れた今はとてもフラットに話ができた。
そもそも私が彼の性事情に一喜一憂してたこと自体がおかしな話なのだ。
また彼もいろいろな経験をして、聞いて、今更私に対して何か思うこともなくなったのかもしれない。


最近楽しかったプレイは〜とか
した相手にこんなこと言われてびっくりした〜とか
そういった下世話な踏み込んだ話も出てきたので
確かにそういうとこあるね、みたいな反応をしていると
話は私達二人のことになった。


向こうは改めてそういうことを言い合うのは恥ずかしいらしかったが
こんなになんの悪意もなく、自分たちの話を素直できることも今までなかったので
思い切ってこれまでを振り返っていろいろ話をした。


初めて彼とすることになったとき彼は自分を童貞と偽っていた。
(そのときの記事もあるのでぜひ、笑)
童貞と思ってた相手が実は全然経験者で、私の及び知らない女とやることやってたことと
彼が私を騙してめちゃめちゃ意地悪に笑ってたことにショックを受けて
私は最中に泣き散らかしたりしてた過去最悪な回だったのだが、
改めてその話をすると
いやー、あのときの反応ほんとにおもしろかったわー笑
という風に笑っていた。
実は他にもそうやって、どーせバレる嘘をついて
案の定バレて私が泣くってことが何度かあったが、
彼はあれも傑作だった、と笑うだけだった。
私も水に流して思い出話にしようとしてるわけだし、今もう一度謝れと思っていたわけではないが、
なんか私と認識にギャップがあるんだろうなぁと感じた。
普通にろくでもねぇ男だよなー。
でもなんとなく話してたら楽しかった回もいろいろあったことを思い出して、
あれは良かったねこれは良かったね
なんて言ってたらなんか雰囲気も良くなってきて。


もしまた俺とする機会があったらしてくれる?
と聞かれて
全然したいよ、
と答えてしまった。

社会人①

私にとって彼は特別だった。


誰かと寝たいとか、抱かれたいという気持ちは
大方関係性を変えたいというよりも好奇心によるところが大きいのだが、
彼に関しては、
友達以上の何かを求めていたのだと思う。


彼とのことは何度かここにも書いてきたが、
だいたい私はばちばちに興奮してるか
泣いているかの2択である。
私は彼を知らなすぎて、いつも勝手に思い込んでいる。
勘違いしていて、自惚れていて
それが彼をイライラさせるのだと思う。
ただ、私達は友達だから
なんだこの最低男は、なんだこのアホ女はと
そう簡単に絶縁できるものでもなく、
彼は性欲によっていろんなことが曖昧になるし
私は期待を捨てきれずにいつまでも繋がっている。


こんなセンチなポエムを書きたくなるような
くだらない感情を、私は彼に抱いていた。



彼と夜にあったのは一年前。
それ以後は卒論やらなんやで忙しくて、ただ日中遊ぶという機会すらもなかなかなかった。
ようやく諸々全部終わって卒業し、
社会人になるまで少し時間があいたところで
他の友だちも交えてみんなで遊ぼうという話になった。


彼と私は多分価値観が絶望的に合ってなくて、
セックスに関わる話をすると大概揉めるのだが
(それもそれで意味わからん)
昼にみんなで遊んでる限りはそんなことはない。
また、そもそも彼は自分が理解できないこと
自分と違う考えについて過激に否定するタイプだったのだが
久々に顔を合わせた彼はどことなく角がとれて
人の話に対しても
真っ向から否定することはなく、
多分そうなんだろうな、という相槌を打つようになっていた。
それは私に対してもそうだった。


彼は多分、人付き合いが苦手で
本当は一人のほうが楽なんだろうなと見ていて感じることがある。
一人でなんでもできるし、だから人の弱さに優しくもなれない。
でもそういった人も一人は嫌で
寂しいとは感じるらしい。
そういう人種が世の中にはある程度いることを
私は最近意識するようになっていた。


彼は彼女ほしさに最近出会い系を始めたらしい。
会社に入って出会いがあるとも思えないし
いろんな人と話がしたいという思いもあるし、とのこと。
ただ、動機は真剣であろうと
そもそも彼自身意思は強くないし、他人に対して真剣になれないところがある。
出会い系にいる子なんてだいたいそうじゃないのという私の偏見もあるが
実際彼女づくりとしてはあまり順調ではなく
1日デートして終わったり、成り行きでセックスしてお別れしたりしてるだけらしかった。


別に今更彼が出会い系を始めたこととか、
他の女の子となんやしてることについて悲しんだり落ち込んだりはしないが、
彼がなんとなく丸くなって、人当たりが良いような顔をするようになったのが
出会い系で知らん相手に対してするときの顔だとしたら
なんとなく気持ち悪いなぁと思ったりはした。
たくさんの価値観に触れて、多様性が認められるようになったのなら良いけど。


彼は変わろうと努力しているのだと思う。
自分のコンプレックスを改善して、
人なりの幸せを探しているだけだと思う。
私が出会ったときに勝手に思い込んで
勝手に好いていた彼はほんの一部だったどころか
彼にとっておそらく、なくしたい自分なのだろう。
流行りの服を着て、髪もワックスで整えて香水をつけて、
出会い系アプリで旅先のおすすめスポットを聞いてるようなイマドキの男の子は
なんだか知らない人のようで、
勝手に抱いていたわけのわからないでかい感情が
じんわり薄れていくのを感じた。
私だけいつまでも取り残されててもいけない。


加えて、普通の友達としてこれからも会うことはあるだろうが
一年誘われもしなかったし、多分相手にも困ってないわけだから、
もう私と寝ることはないんだろうなとなんとなく思った。
ならもう私も変に期待するのはやめて、彼に対して何か考えるのはやめよう
だから二人で会う口実になりそうなものは全部なくそうと思い、
借りてた漫画やらなんやらをとりあえず全部彼に返すことにした。
別にこれで最後!みたいな決意があるわけでもなく
特別な記念日にこの日をする気もないが
今までこうして二人で会ってたけど、もうそんなことする機会もなくなるよな
と思い出に浸る気持ちは、ほんの少しあった。

再会 完結

倒れこむように彼に抱きつき、ゆっくりと腰を上げた。
出したものがたっぷり溜まっているのが見てとれる。
イった後すぐ触ると嫌がられるものだと思っていたが、彼はそんなことはないらしい。
べたべたになった股間周りをティッシュでふき取るのをじっと見ているだけ。
柔らかくなった彼のにいたずらに触れても特に反応はなかった。


ちゃんと気持ちよくなってくれたのだろうか。
すごく楽しかったという気持ちと、とにかくイかせられてよかったという思いが同時に押し寄せてきた。
ちょっとだけ…疲れた。
彼は何か感想を言うこともないし、何かしてくることもない。
彼にも少しだけ疲労が見えた。
セックスって疲れるよね分かる。
体力的にはまだやれそうだし、彼は毎回2発はやるみたいなことを言っていたが連発できるわけではないだろう。


さすがに休憩挟まないとたたないよね?と聞くと
そうですね、と言ってぼーっとしていた。
このとき時刻は4時頃。
どれほど休憩をすればいいのかも分からないし、どうやって過ごしていたらいいのかも分からない。
彼から抱きしめてきたりするわけでもないので、そもそももう一度したいと思っているのかも分からない。


今日は寝て、起きてからもっかいするか?と提案すると、
そうですね、と言った。
彼も眠いようだ。布団に埋まっている。
一緒にどうかという含みもありながら、シャワー浴びて寝ようかなと言ってみたが
どうぞ、とだけ言われたので一人でさっと汗を流した。


戻ったときには彼は眠っているように見えた。
だが私がもぞもぞと布団に入ると、ほんの少しだけすり寄ってきた(ように感じた)。
寝てるのか、起きてるのか。
くっつきたいのか、ただの寝相なのか。
分からない不器用さがいじらしく愛おしくもあり、
彼の甘えでもあると思った。



昼前あたりに何度か目覚めたが、二度寝を繰り返した。
彼も同じく起きているような気配があってもすぐにまた目を閉じた。
というか途中から普通に起きていたように見えた。
しかしどちらも覚醒していないのかだらだら眠る時間が続いた。


彼が何かしてくることはない。
私が思い切って彼にすり寄ると彼もほんの少し体を傾けてきた。
しかしそれ以上はない。
したいという気持ちがあるんだろうか?
今思うと彼も同じように考え、そして消極的な彼はただ様子をうかがって待つことしかできなかったのだろうと思う。
私もそれしかできなかった。
言葉も行動もない相手の気持ちは読めない。
自信もなくなる。
私が今何かすれば乗ってきてくれるのだろうか?


そんなことを考えて時間を浪費していると、
そろそろ帰らないと…猫に餌をやらないといけないので…
と彼がおもむろに口を開いた。
なるほど、猫に餌ね…
だからどうという含みも受け取れず、単純に焦っているように見えたので
じゃあすぐ帰らないとね、
と言って私は起き上がった。
すると彼も何か言うわけでもなく布団から這い出て、服を着始めた。


結局したかったのかなんだったのか…。
昨日したの、あんまり良くなかったのかなぁ。
なんとなくネガティブになりつつ私も服を着た。


そこからてきぱきと帰り支度を済ませ、コートを羽織って荷物を持った。
さっきまで手を出しあぐねていたのにここに来て急に惜しくなってきた。
念願の彼との一夜。
いろいろ思うことはあったけど、すごく楽しかったな。
私は。


玄関に向かう彼を後ろから思い切って抱きしめた。
うわっ、と彼は間抜けな声を出す。
強引に押し切っちゃってごめんね、めっちゃ良かった、
と思ったままを伝えると
いや、俺が押させたとこもあるんで…
と言った。
逃げ癖があって、責任を負いたがらない彼がこういう言葉で返してきたのはかなり印象的だった。


それからホテルを出て、帰宅した。
私はこういうとき帰ったらすぐにお礼の連絡をするタイプなのだが、
彼からは丸1日くらい返信がなかった。
あとで聞くと猫に餌をやってから泥のように眠っていたらしい。
なんかラブホでの眠りって浅いよね、分かる。
上手くやれなかったんじゃないかと若干落ち込んでいたのだが、
そのあとやりとりをしているとかなり満足してくれていたようだった。
本当はもっとしたかったらしい。
だとしたら言葉足らずすぎるんですよ。
LINEだと饒舌なのに、これだからネット弁慶は…。
なんにしろそれを聞けて私も満足したし、彼の不器用さは私にとっては可愛さでもある。
また近いうちにする約束をした。



高校の後輩と再会して関係が変わった話。

再会 ⑥

頭をそっと撫でると、なんとも言えない表情で笑っていた。
どういう気持ち?と聞くと
なんかおもろいです、と言う。
その反応に構わず、今度は首筋に口づけ、それから耳を甘噛みしてみた。
キスしたり舐めてみたり、行ったり来たり。
そうしているうちに変な笑いは消え、彼の呼吸が少しずつ浅くなるのを感じた。


キスしていい?
そう聞くと、
大丈夫です、
と答えた。
大丈夫ですてなんやねん。
彼女じゃないと嫌とかない~?
とおどけて聞き直すと、
ふっと表情を緩めて、特には、と言った。
思い切って唇を重ねてみるとむしろノリノリで受け入れてくれた。
軽く触れさせるようなのを繰り返していると、何かを求めるように唇が動いたので、
そっと口を開き、舌を忍ばせるとちゃんと絡めてくれた。
私が体に手を這わせ、いたるところを撫でまわしていると、
彼も同じように私の体に触れてくれた。


自分から何かしてきたり、しようとしたりはしないけど、何もせず伸びているというわけでもない。
常にどこかに触れ、私がすることには応えてくれる。
思ったより積極的で嬉しい。


乳首を触ると急に現実に引き戻されたように笑い出した。
くすぐったいらしい。
これは彼女の開発待ちで一旦放置しよう。
再び首筋などに顔を寄せると、息を飲むのがわかる。可愛い。
気持ちいいとか、もっと、とかそういうはっきりした言葉は何もないけど、
分かりやすく息が上がっている。
発情している、という感じだろうか。
彼が自分から私の耳元に口を寄せてくることもあり、委ねているとそのまま舌が耳の縁をなぞった。
その舌が首や鎖骨を掠めると体全体がぞくっとしてしまう。
すごく気持ちいい。
彼の攻め自体はどれも長くはなく、すぐにまた私にされるがままになるのだが、
そうやってときどきコミュニケーションでもとるようにお返しをしてくれるのが
いじらしくて可愛かった。
彼の顔の横についた私の手にキスをする様子なんかは堪らなく愛おしい。
いちいちツボをついてくる。


私の体も彼の体もすごく熱くて、頭から湯気が出るんじゃないかと思うほど興奮していた。
彼のめくれ上がった服を脱がし、私も服を脱ぐ。
ブラのホックを外して彼を抱きしめると、
ふっと息を漏らして受け止めてくれた。
見せただけで誰もが感嘆を漏らすようなダイナマイトボディでもないし、好きでもない相手の裸なんて見てもなんの驚きもないのかもしれないけど。
少なくとも彼は、なんにも言わないのに、興奮してくれているような気がした。


彼はやっぱり自分から攻めに回るようなことはしなくて、
このときは私を抱きしめ返し、それから下着ごしに尻を優しくなでた。
中に指が入ってきたりすることもないが、そうやって私の体の形を確認されているような感覚だった。


もう全部脱がしちゃおうと思い、彼のズボンに手をかける。
春先だというのに寒さ対策万全でズボンの下にジャージを着てやがる。
脱がしにくすぎて我に返りかけたが、やっとの思いで引き剥がすことができた。


第一印象は、まずめっちゃ毛深い。
今まで見た誰より毛深かった。
処理をするという習慣がないのかもしれない。些末なことだが。
サイズは平均より少し大きいかなと思った。
手でさすったり、ちろちろ舐めたり様子を見てから、思い切って口に入れる。
それから扱いたり転がしたりいろいろしたのだが…
終始なんとなく噛み合ってない感じがした。
ずっと気持ちよさそうではあるけど、多分なんか違うんだろうなという…
彼に、どう?などと聞いてみても
分かりませんというばかりで、何も得られなかった。
彼の腰がやたら揺れるので、それを指摘すると、
こんなに時間かかったの初めてなので~
と何気なく言われた。結構堪える…。
彼女は全力で搾り取ろうとしてくるタイプだというのでめいいっぱい激しくしてみたが効果なし。
私には無理です、すいませんでした。
本人の集中力も途切れかけていたので、不本意だがいかせるのは諦めた。


もう一度キスを口や体にして、ゴムを手にとった。
さっきのでかなり気が散ったらしく、ゴムを開封しているうちに硬度が落ちる。
一時も手を離したらダメなやつだ。
大丈夫かこれ?と思いながらもなんてことない顔でくわえるなり扱くなりしつつゴムを取り出し、硬くなったところを一瞬で装着した。


彼は今日ずっと下だったので、このまま騎乗位ですることにした。
そのほうが犯してる感あるしね!
なんなら彼は騎乗位しかしたことがないと言っていた。
それはさすがに良くない…けど今日は許そう。
そういや私は一切中を触られていなかったということにここで気づき、自分で広げるように指を入れた。
濡れてはいるけどきつそうだな~。
でも触れられてなかったことが逆に焦らしにもなり、私が腰を落とせばいつでも入れられる距離に彼のがあることも相まって、我慢が利かなかった。


多少無理をして入れたが、気持ちが高まっているためか動かなくても既にやばかった。
それは彼も同じなようで深く息を吐いている。
しばらく動かずに彼に抱き着いて馴染ませ、それからそっと腰を浮かす。
スローペースで腰を揺すりながら、
ゆっくりのほうが良い?と聞くと
そうですね、ちょっとやばいんでゆっくりじゃないと…
と顔を歪ませながら言った。
このことで逆に煽られて、早く動いたりゆっくりにしたりして彼をいじめたのだった。


気持ちよかったけど、私は正直さっきのフェラでの失態が若干尾を引いていた。
そのためなのか硬度の感覚がよく分からない。
抜けたりはしていないが、しばらく続けるうちに中折れしたら面倒だなということが頭をよぎってしまった。
私自身、限界だったのもあり、
ごめん、我慢できない
と伝え、音を立てることもはばからずに激しく腰をゆすると、程なくして彼が達した。

再会 ⑤

私が誘いだしておいてこんなことをいうのも失礼とは思うが、
彼は責任逃れをする節がある。
高校の頃にも何度かそういう場面を見た。
押しに弱く、主体性がない。
流され、なるようになってただ過ごしている。
だからいざ責任を追及されたとき、俺が決めたんじゃない、俺が言ったんじゃないという。
責任逃れというか、本当にそう思っているのかもしれない。


彼のその性格を非難する気は今更ない。
彼女ともそういった成り行きで付き合ってると言い放ったので踏み切ったというのもあるからだ。
だが、いざやることやって、俺はその気なかったのに~と言われたら堪ったもんじゃない。
それに私ががっついてきたから後に引けなくなってるとかだったら多分上手くいかない。
ホテルに連れ込むのは簡単だがそこで恥をかくのは避けたかった。


飲み物を買いにコンビニを経由する最中に、
したいって思ってくれてるってことで良い?
と聞いた。
すると、
多分、大丈夫です…自分でもよく分からない
なんて言い出した。
ダメだ、あんまり攻めすぎると交わされる。
もう押し切るしかない。


コンビニを出て、自転車に乗りなおし
じゃ~ラブホで良いですか~?
と聞くと
いっすよ!
とラーメンでも行くんかという軽快な返事。
もう二人ともテンションの持って行き場が分からなくなってるのだろう。


何度か利用したことのある一番近いホテルに到着した。
聞くところによればラブホは初めてらしい。
まぁ下宿だからおうちでヤれば良いもんな。
しばらく改装工事をしていたようだったが、晴れてリニューアルオープンし、外装から変わっていた。
何やら名前も若干違う。
部屋を選ぶタッチパネルもデジタル画面になっていて、前はボタンを押すと受付の人が鍵を出してくれたが、今回は機械からルームカードが出てきた。
以前を知らない彼とこの興奮を共有できないのだけが惜しい。
エレベーターだけ何故か古いままでガタガタと大層な音を立てているところも含めて楽しかった。


部屋はすべての部屋を知ってるわけではないのでなんとも言えないが、
これまで利用した部屋よりずっとクリーンな印象に変わっていた。
ラブホらしいけばい壁紙は、単色の地味なものになっており、ソファなども含めて普通の部屋のようだ。
ビジネスホテルとして一般客が利用できるように改装したのだろうか。
質素な部屋に構える真っ白いキングサイズのベッドだけがラブホテルとしてのアイデンティティを保っていた。


私もホテルではしゃぐタイプだが、彼も楽しそうだった。
部屋に着くとすぐ風呂やらトイレやらを見て回る私なのだが、
それに着いてきて一緒にうろうろする男は彼氏以外にはこの後輩くんだけだ。
だがいつまでも歩きまわってるわけにはいかない。


彼は何気なくベッドに座った。
私もあとに続いたが、どうしていいか分からない。
部屋を暗くしようと思ったが、つまみが多すぎてめちゃめちゃ消して付けまくってしまった。
彼はそのつまみが枕元に並んでる様子も面白いらしく、私がくるくる回すのを観察したり、自分も触ってみたりしている。


だいたい男の子のほうが逸る気持ちを抑えられず、私がそうやって気を散らしていると強引に襲いかかってくるような覚えがあるが、
彼は今気が散っている。
襲いかかるのは私の役目なのだ。
情けない先輩とラブホに行ったときに、素面でこういう展開になったことがないから、どうして良いか分からないと言われたことがある。
私は逆に酒の勢い任せで、とか泥酔していて記憶がなくて、とかそういう経験がないが、
ここまで私が100%リードするという経験はない。
確かにどうして良いか分からない。
私も同じく情けない女です…


期待しまくってて爆発しちゃいそう!なんて様子は彼にはなく、
ただ好奇心でうきうきしてるが半分、今からどうしていいか全く分からないが半分という感じだろう。
興奮しているのかすら怪しい。
これはまず雰囲気を作るところから…。


照明を見るのもやめてじっと固まっている彼に腕を絡め、密着してみた。
彼は何も言わない。
本当にしていいの?確認しとかないと強姦になっちゃうでしょ、
笑い交じりに聞くと、
そんなことはないです、大丈夫ですよ
と笑われた。
今はどんな気分?と聞いたら
ちょっと面白い状況だなーと思います、との返事。


分かる、面白い。
だって部活の先輩後輩だもんね、私たち。
付き合ってもないし好きあってもないもんね。
冗談で言ってたことが実現して、今二人でホテルのベッドで寄り添ってる。
意味わかんないよね~。


でも意味わかんね~おもろ!と思ってるうちは勃つもんも勃たない。
面白いじゃなくて、先輩に犯されるという非日常を楽しんでもらわないといけない。


よ~し頑張るぞ~