せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

姫初③

明日(今日)の午後からバイトがあるらしく
LINEでも泊まりは無理だと言われていたのだが、
ここで改めて何時までいていいのか尋ねるとそのときの答えより若干伸びていた。
時間の制約はガバガバなわけだ。
というかちょっと楽しくなってきて時間を伸ばしたのか?
だとしたら可愛いな。


私が一人でにやにやしてると、
そういや髪色変わった?
と私の髪を優しく掻き上げて聞いた。
彼は髪を触るのが好きなのか、触ると喜ぶと思っているのかよくこういうことをする。
これだけで少しドキッとしてしまう自分の単純さが悔しい。


適当に受け答えしていると、次は私を抱きしめていた手でお腹の肉をつまんできた。
こいつ…
ちょっとぷよったんじゃない?笑
そんなデリカシーのない発言をする彼を心の中で睨みながら
正月太りしたんだよ〜!やめろー!
と抵抗すると、さらに調子に乗って服の中に手を入れてお腹をつついた。
いきなり素肌に手が触れてその先のことを連想してしまったが、
俺の手冷たいな、ごめん
と手を引き抜いて服を戻した。


本番ができないと分かっている女に手を出すかまだ決めかねているのだろうか。
お前、手を出さないとかどーせ無理なんだからさぁ…
と思いながらもこうやって葛藤してるのはなんだか面白かった。


それでもつい触れてしまうらしく、
彼はそっと首に口づけてそのまま耳を甘噛みした。


私を包む腕は確かにそこにあって、
体温が背中から滲んでくる。


どきどきしてる、笑
と煽ってくる彼が触れてるのは心臓ではなく横隔膜あたりで、
私の体がどくどくと脈打つのを手のひらで感じ取っていた。
胸に触らないのはここが砦だからなのか、焦らしのつもりなのか。


最近してないの?
という私の質問ももはや恒例。
それに対して
うん、全然してない
と嘘かほんとか分からないことを彼が言うのもいつもの流れだ。
こんなのは通過儀礼みたいなもので彼の言葉に信憑性なんてもはやない。
それでも私は同じことを聞いてしまう。


すると彼は私の耳元から唇を離して、抱きしめていた腕で私の首を絞め上げた。
突然のことに驚きながらも
こういうパターンもあるのかぁ、と呑気なことを思った。
拘束が解けて必死に息をする私に、
いつものように無責任な笑顔で
ごめん、笑
と言った。
まともそうに見えるやつほど異常だったりするのが世の条理だなぁ。


誰にでもこんなことするの?みんな受け入れてくれるものなの?
と半笑いで聞くと、
いつもはしないし、そもそもそんなにしてるわけじゃないから!
と抗議された。
絶対嘘だろうけどな〜。


私にはしたかったらしても良いよ、
と耳打ちすると、首に手をかけ
キスをした。


久しぶりに彼とキスしたな。
なんならもう誘われることはないだろうと思ってたんだけど。
やっぱり最終手段の私なんだろうな。


私はもっと欲しくなって自分から唇を啄んだ。
それに気を良くしたのか、
また私が近付こうとすると後ろに首を引いて逃げ、近づいてきたかと思ったら頬にキスをして私を焦らした。
ねぇ〜、
と私が睨みながら追いかけ、それから諦めてそっぽを向くと
彼は私の髪を束で鷲掴んで自分の方に顔を向けさせ、強引に唇を重ねた。
痛みを感じるような動作でもないがその乱暴さに少し驚いた。


何かを見てそれをやってみたくなってしたのか、
普段からしていて特に大したことでもないのか、
興奮してつい乱暴になったのか、
私が喜ぶと思ってしているのか。


彼が私の知らない新しい一手を見せてくる度に事細かく言及したくなるけど、
雰囲気に飲まれて何も言えなかった。


柔らかい唇が私の唇を啄む。
何度も何度も。
そのことで頭がいっぱいになってしまう。


不意に彼の舌が私の唇を舐めた。
それが中に入りたいという意思のように感じられて、私が少しだけ口を開くとわずかな隙間からぬるりと侵入してきた。
舌を絡め取られ腰の奥が甘くうずく。
あー、キスって気持ちいい。


彼がベッドに仰向けに寝転がって、
上に来て、
と言った。
被さるようにうずまると彼のにおいに包まれた。
腰あたりに手を回され、より重なりが深くなる。


普通は女の子が下なんだろうけど、俺はこのほうが好きなんだよね、
と笑いながら彼は回した手に少しだけ力を込めた。
確かに男の子が押し倒して行為が始まるとすれば女の子は下か。
だが、彼氏がいつも上に乗れと言うので私からしてみればあまり違和感のない構図だった。
彼氏がいつも〜とあえて言うのも興ざめかと思い、
そうかな?私はこれ好きだなー
と答えておいた。


服を押しのけた手が背中から忍び込んできた。
無意識に鳥肌でも立ってたのか
やっぱり冷たいな、
と囁いたが今度はやめることなくそのまま背中を這わせた。


ひんやりした指先が体をより敏感にする。
私が身をよじらせると上体を起こすように言われ、従うと服を脱がされた。
露わになった下着の上から胸元に顔をうずめた彼は
あー、良い匂い、すごい興奮する…!
と言ってそのまま私をぎゅっと抱きしめた。


こんなんもう後に引けないでしょ。
私をどうする気なの?

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