話してるうちにだんだんお互い利害が一致してることに気づき始める。
ただすぐに私がそれを口にしなかったのは
相手には彼女がいたからだ。
私はバレても怒られないどころか、彼氏にはことの顛末を全て話して聴かせる。
(そのためなやってるとこもあるので。)
だけど相手はどうだろう。
私自身、彼女とは特別仲良くしていたわけでもないが、それなりに良好な関係を築いていた。
この男もその彼女も高校からの付き合いで、その友達は私の友達でもある。
もし関係を持ったことが知れれば一体どの範囲まで混沌が広がるだろうかと考えずにはいられなかった。

それからもう一つ、彼女持ちである問題には敵わないながら私が気にしていたのは
私でいいのか？ということだ。
私はこの友達が結構好きだし、興味もあった。
相手も私に好意的であるのは分かっていたが
彼女の目を欺いてこの戯言を実行に移すのはかなりリスクが高い。
そこまで冒険してみる価値が私にあるかどうか。

それを見透かされたのか
俺はyukiとしてみたいな
というようなことを言い出した。
ここまでならまだ冗談として引き返せるような言い方ではあったが。
私が笑い飛ばしてそれを聞き流さなかったのを態度で感じ取られたのか、
私に興味があったというような話を始める。
何より利害が一致してる、こんな相手は早々いないだろう、と。

さすがにすぐに首を縦に振ることはできず、
彼を宥めながら私もいろいろ考えてはそれをぶつけた。
そもそもセックスというのは相手に没頭して成り立つものであるというのが持論だ。
(実際は好きなAV女優でも頭に浮かべてやり過ごすパターンもあると聞くけども。)
最中に彼女が浮かんで罪悪感に苛まれたりとか、それで萎えたりとかしないのか？
私がその問をぶつけると
俺も恋愛と性欲を切り離してるからそれは絶対ない
ときっぱり断言された。
うーん
私も同じなんだよなぁ。

バレたらほんとに終わりなんだぞ
と何回言っても全然動じない。
隠し通せばいいだけの話じゃないかと言う。
そのリスクは俺もyukiも一緒だけどな、
2人で隠せば良い
と補足される。
うーん
一緒じゃねぇんだよなぁ。

私が今言ったような
彼女にバレること
彼女が浮かんで萎えること
この問題さえクリアされるのであれば私は一向に構わない。
この一夜のあと、これまで通りの日常が続くのであれば。

彼はいますぐ日取りを決めようというところまで話を進めていて
私はとりあえず二週間先あたりを指定した。
今は多分性欲が最高潮に達していて冷静な判断ができないのだろう。
私もだいぶその気にさせられてるし。
彼女もすっかり寝てしまった夜中というのもある。
起きて彼女の顔を見れば愛情を感じて目が覚めるかもしれない。
少なくとも二週間あれば考えが変わることは十分あるだろうと思ったのだ。

しかし私のこの目論見は外れたのだった。