せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

再会 ①

彼と私の出会いは高校の部活だった。


後輩として入学してきた彼はすぐにうちの部に入部を決め、
先輩らとも打ち解けて過ごしていた。


自分から前に出てくるタイプではなかったが、
何故かいつも先輩である私たちの代がたむろしているところに居座っていて
にこにこと話を聞いているような男の子だった。
(後で聞くところによると、同級生といるより居心地が良かったらしい。)
ハーレム系のラノベの主人公を思わせる、押しかけに弱そうな雰囲気を持っており、
「敬語で懐いてくれる後輩」という属性もあってか私は彼を割と気に入っていた。


しかし私は全く関係のない事情で高3の春に途中退部をした。
そのときのことを説明しても仕方ないので割愛するが、
そういうことになって、部の後輩に会う機会はほとんどなくなった。
やめてからも部の友達は仲良くしてくれたし、遊びのイベントには呼んでくれたが
後輩との縁はそこでほぼ途絶えた。
かと言ってそれほど惜しむような後輩が大勢いたのかと言われればそういうことはなく、
もう一度話したいと思うのはせいぜい件の彼くらいなものだった。


私が高校を卒業してから1年後、彼は浪人するらしいというような風の噂を耳にした。
そのときには特に彼に思いを馳せるような機会もほぼなくなっていたが
さらに1年後、彼が大学に入学したというのをSNSで知った。
と同時に私がつながっていたSNSのアカウントは高校用のものではなかったということを本当に今更にながら知った。(部活で活躍するにつれてアカウントを増やしたらしい)


特に意図があったわけではないが、私だけがフォローし合ってなかったことを惜しく思い、そのタイミングで思い切ってフォローした。
私がフォローしていた元のアカウント(別の用途で今も使われてはいる)は受験があるのでとほぼ活動がなくなっていたが、
高校用のアカウントを覗いてみればこちらは時期に関係なくずっと動いていたようだ。
彼の所在を知らなかったのはどうやら私だけだったらしい。


そんなこんなで、高校を卒業して2年も経ってから彼と新しいつながりを持った。
彼も私もお互いが意図して離れていたわけではないし、SNSヘビーユーザーであるため、繋がりさえ持てば関わる機会は生まれた。


彼はどうやら地方の大学に進学して、地元を離れ一人暮らしを始めたらしい。
そのため長期休暇にこっちに帰ってくるとなれば、顔を合わせられる日はないかと共通のフォロワーがアポを取る様子が見てとれた。


彼との空白の2年間、乃至私が部活をやめた日から数えると約3年。
その間のことは興味深いし、なにせお気に入りの後輩だ。
私から話して聞かせることは特になかったが、流れに便乗し「一緒にご飯でもどうか」と誘ってみた。
すると、彼はこれをあっさり了承し、
とんとん拍子で彼と夏休みに二人で会うことが決まった。
このときの私の下心は15%くらい。


こうした成り行きで私と彼は再び交わり出したのである。

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