せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

再会 ②

会うのは久々だったが、私がネタで言う「後輩くんと寝たい」という発言が人づてに本人に伝わっていた。(そういう内輪ノリ)
彼はそれを普通に面白がってくれていて、やばすぎるな~などと言ってただ笑う。
まぁ私はなりゆきでそういうことになったらラッキーくらいに考えていた。


一緒にご飯を食べるという約束だったが、お互いの予定の関係上集合は夜の9時。
晩御飯には随分遅い時刻だ。
お互いの家の位置関係と、安さだけで適当なチェーンの居酒屋に決めた。


久々に会った彼は想像していたよりも背が高くて、「男の子」という感じがした。
可愛い後輩、というイメージだけでなんとなく小柄だったように錯覚していることがある。
私は一般的な女性の平均身長くらいなので、実際私より低い男の子は周りにはほとんどいないんだけど。
彼においても会わない間に見違えるほど成長したというわけではないだろう。
しかし、こうして改まって彼の横に並ぶという機会もなかったので、特別に感じられたのだと思う。
私服で会うことも多分ほとんどなかったしね。


彼の声や話し方、交わした言葉など、断片的には思い出せるが、
学校以外の場所でこうして二人で会うことなどあるはずもなく
場を持たせられるのだろうか、と直前になって考えたりした。
だが、顔を合わせ、声をかけた瞬間の印象はとても柔らかく、いい意味で普通だった。


予約もせず入店したが席には空きがあったので待つこともなかった。
カウンター席に案内され、横並びで座る。
変に相手の視線を気にしなくて済むし、近くに座れて良いかも、思った。
私は実は軽食を取ってしまっていたが、彼は腹ペコというのでたくさん頼んだ。
彼に食わすつもりが酒を飲むとどうも食欲が増幅してしまい、結局私もよく食べていた。


会わない間の話や共通の知り合いの話をしていたら気づけば閉店時間。
9時集合と言いながらお互い遅れ気味に集まったのだが、それにしても4時間はいたようだ。
帰るのも名残惜しいが、このあと休憩して帰らない?などというムードでもない。
いまいち決め手にかける。
そもそもこんなに久しぶりに会っていきなりそういうことをするのも変な気はした。
帰りがたいが2件目のあてがあるわけでもなく(お腹いっぱいだし酔ってるし)
とりあえず公園にでも向かうかという話になった。


そうして何故か朝の7時あたりまでずっと自転車を漕いで公園を転々とした。
どうしてそうなったのかは二人とも分からないが、どちらも行き先を決めておらず
また私の思い上がりかもしれないが、どちらも何かを期待していたためにこうなったのではないかと思う。
普通に疲れたし、汗もかいた…。
だがそれなりに面白い思い出にはなった。
彼には彼女がいるがまだこのとき童貞だと言う話も聞けた。


私が一歩踏み切れなかった理由としてこれもある。
彼女がいること、
そしてその彼女とまだしていないということ。
私が童貞をもらうのは願ってもないことだが、こんな私にも彼氏がいる。
初めては恋人が良いと思った。
付き合い始めに童貞だった彼が知らぬうちに童貞でなくなっていたなんてことを
もし知ったら一生の傷になるだろう。私は絶対死ぬ。
だから今日はやめておこうと決めた。
彼がどこかで私を誘うようなことを言ってくれば絶対にしてたけど()
彼からそんなことは一切言ってこない。
浮かれポンチの私が勘違いするような発言は飛び出さず、朝になったのだった。


しかし彼は私が誘うようなことを言えば、否定もせずに笑う。
真に受けていないといえばそうかもしれないが、
私には彼が決め手となる一手を待っているようにも感じた。


そうして
次会ったときお前が童貞じゃなかったら絶対ヤる、
と言い残しておいた。(彼女と別れてたら、とかだったかも)


すると彼は、朝日の写真をスマホに納めつつ
覚悟しておきます、
と言って笑った。

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