せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

詐欺③

これで私の違和感はほとんど確信に変わった。



こいつ多分童貞じゃない。



さすがに想定外すぎた。


彼は聞いた、
童貞じゃなかったら俺とはしないのかと。


童貞がほしいけど、しないわけじゃないよきっと。
みたいなことを答えた。
だって、私はその人としたかったから。
童貞にかなり固執してはいたけど、童貞じゃない彼に興味がないわけではない。


確かにそうなんだけど。


それはそうなんだけど。



まさかほんとに童貞じゃないの?



彼は笑ってた。
それから私の口の中に指を突っ込んで舌を弄んだり、頬の内側を指で押し上げたりした。
さらには引き抜いた自分の指をぺろっと舐めて見せた。


こんな童貞がどこにいるんだよ。


お前童貞じゃないよな!
って言うと
いや童貞だよ
と答えてまた手慣れたキスをする。


こんなキスしてキスだけで終われるわけない、どうやって帰ってくるの
って聞いたけど、だってしてないもんと言う。


その問答をしてる間も彼は手を止めない。
着ていたシャツのボタンを丁寧に外して、
ミニスカートに突っ込まれていたシャツを慣れた手付きで引き抜いて、背中に手を這わせた。


手冷たいかもしれない、ごめんね
と言われた。


シャツはするする体から落ちて、下着とレースのインナーが残った。


エロいなと彼は言った。
終わってから思えば、服装に対しての感想はマメだった。
どこで覚えたのだろう。
エロいと思ってもらえたなら着てきて正解だったよ
と余裕を見せてみたけど、本当はもう頭がパンクしそうだった。


なんだこれは??


本当にされるがままでそれを指摘されたときはすごく恥ずかしくなった。


すごくえっちなキスをしながらブラを外して
キスに気を取られてブラ外されてるの気づかなかったんじゃない?とからかわれた。


そのあとすぐ胸をいじられて私はすぐに息が上がってしまった。


今何が起こってる?


何度かお前童貞じゃないよなと抗議したけど、まともに取り合ってもらえなかった。


ときどき会ってこういうことをする相手はいるけど
キスの先は初めてと言う。



嘘だ。



さすがに嘘が下手すぎる。


こんな手慣れた童貞いてたまるか。



彼のやることなすこと全てに煽られて興奮して感じている自分が本当に恥ずかしかった。
でも私が何かしようとしたら止められるから反撃できない。
思いっきり押さえつけて仕返しするべきだったのだろうか?
私にはそこまでする勇気がでなくて、本当にされるがままだった。


彼は楽しそうには見えた。
私の反応を楽しんで見ていた。


でも発する言葉のすべてがどこか嘘めいていて、彼の本心はどこか別にある気がして
あるいは私を興奮させるために虚言を並べているように思えて
興奮する体と裏腹に心が冷えていくのを感じた。


気づいたら着ていた服を脱がされて、あとはタイツと下着だけというなんともはしたない格好になっていた。
俺は一枚も脱いでないのに自分だけ脱いでるよ
って指摘されて
そっちも脱いでよ!って言ったけど聞いてもらえなかった。


脱がせておいて彼は何もせず私の体を舐め回すように見て
恥ずかしい?と聞いた。


恥ずかしいよと答えると、満足げに笑って私の手首を掴んで背中の後ろで拘束した。
胸を突き出す形になって、それでも何もせずに見ている彼の視線に羞恥で震えた。


挙げ句にでてきた言葉は
高校の頃より小さくなったんじゃない?
という全く聞きたくもない感想で、人の心がないんじゃないかと思った。
こいつドSすぎないか??


悔しくて悲しくて恥ずかしくて耐えられないのに
気持ちよくて興奮して


夢を見てるのかなと何度か意識を手放しかけた。


翻弄されているという事実に興奮した。


彼が私を見ている。
じっと見てる。
私に触れてる


全然嬉しそうじゃないけど。
何を考えてるのか分からないけど。
今は確かに独占している。
それだけでいいんじゃないか?
そう考える自分も確かにいた。


だけどやっぱり
彼をここまでいやらしく育てた初めての相手にすごく嫉妬した。
私が何度もしようしようとちょっかいをかけるのをどういう気持ちで見てたんだろう。
童貞捨てたいってどんな気持ちで言ってたんだろう。


本当の初めてはいつなの?
どさくさに紛れて聞いても彼は答えない。
ごちゃごちゃ言う口は塞がれる。


彼は何を考えてるんだろう。
そう思って彼の下半身に触れてみた。


ちゃんと硬かった。


それだけが救いだった。


私の手はすぐに制され、代わりに彼の指が中に入ってきた。
その事実だけですごく濡らしていたとは思うけど、
困惑が勝っていたようで、いつもみたいにぐっちゃぐちゃということではないようだった。
私にしては珍しい、でも無理もない。


悲しいのは本当だから。
いくら興奮していても、心が満たされていないのだから。


中で指が動いて、声がいっぱい出てしまった。
キスしてって言ったけどしてくれなかった。
したい?
したいならお願いしてと言われたけどお願いの仕方なんて知らない。


お前、Sだったの?というと
そっちがどう見てもMだからって言われた。


こんなこと言われるのドSの先輩とヤったとき以来だ。
彼氏もMっ気が強いし、これまでの人も攻められるのが好きな人が多かった。
私は自分ではSが強いと思っていたし、もし彼のことを上手く攻めることが出来て、彼の可愛い反応のひとつでも見られたならすぐに嗜好が切り替わっていただろうけど。
彼は絶対に攻めさせない。攻める手を止めない。


私の中のMなところばかり刺激されて
ほんとに目覚めるんじゃないかと思った()


本当はMだけど私がMすぎるから合わせてくれてるのかもしれない、
話しててそんな気もしたけど、彼の気持ちはわからないし私は完全に攻められるモードになっていたので何をされても抗えなかった。


こんなに気持ちがグチャグチャなのに体だけ反応しやがる〜〜このポンコツ!!


ベッドに行きたいっていう気持ちも聞いてもらえなかった。
もう少しここでしようって言われた。
私が触ろうとしたらすぐに阻止される。
キスしたいって言っても手で塞がれる。
拗ねてそっぽ向いたら頭を掴まれて無理やりキスされる。


彼はもともとこうだったのだろうか。
それとも初めての相手がかなりのマゾでその子を喜ばせるプレイをしていたらこうなったのだろうか。
彼をこんなひねくれたサディストに仕立て上げた奴がいるとしたら本当にむかつく。
真性Mにはなかなかクるプレイだろうと思う。
正直私もこういうのも悪くないなと感じた。


だけどせめて彼の気持ちが聞きたかった。
その言葉だけはほしかった。


私のことどう思ってる?どう見えてる?
今何を思ってる?


セックスすれば少しは普段見せてくれない内側が見られると思っていた。
私だけが知っている彼になると思っていた。



だけど全然そんなことはない、むしろ前より分からない。


分からない分からない



何も分からない。

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