せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

キスマーク②

あれキスマークじゃね?


3秒くらいは目視できた。
首筋になかなかのサイズ感の鬱血痕があった。
いやぁ、あれはキスマーク…


そこからしばらくもやっとした。
直接指摘することも出来ず、またもしそうだったとして
バレたかぁと笑われたらそのあと何事もなかったようにその場に居続ける自信もなかった。
まだ帰りたくはない。


とりあえず彼に
ほんとに最近は誰ともしてないの?バ先のセフレとかは?
とちょっと踏み込んで質問してみた。
すると彼は
バ先の……?俺なんか言ってたけ
と本気ですっとぼけ出した。
バ先の女相手に童貞喪失してその後何回かしてんだろテメェが言ってたぞ、それをセフレと呼ぶんじゃないんですかぁ?
そんなことは言えなかったので
ふーん
と言っておいた。
とはいえ何かあったようにも見えなかった。
こういう話がまだ続くならキスマークを言及してやろうと思ったけど、この話題はこのへんで途切れた。
そもそもしつこいようだが、できれば知りたくない。
知らずに気分よく帰れればそれにこしたことはない。


これ以上食べられないというところまで満腹になったので私たちは店を出た。
いつもの感じだと彼はすぐ帰ってしまう。
大概、用を済ませたあとは何かと理由をつけてそそくさ帰るのだ。
しかし平日の夜にこうやって会ってくれることといい、翌日1限がないというのが彼の中に心の余裕を生み出しているようで
帰るかー
と言う彼に
えー、もう帰らないとダメ?
と抵抗を見せてみると
いや、俺はまだ大丈夫、じゃあもうちょっといるか
と案外すんなり受け入れてくれた。


私は程よく酔っていて気持ちがふわふわしていた。
少し話す時間が取れるだけでも嬉しかった。
行く宛もないので川沿いの公園を目指す。
少し距離のあるところだが、彼のお気に入りスポットなようだ。
自転車を走らせ目的の公園に到着した私たちは適当なベンチに腰を下ろした。
ライトが一帯を雑多に照らしていた。
すっかり夜ではあるが人が徘徊するのにまだ常識的な時間帯で、向こう岸には多くの人が行き交っているのが暗がりにも見て取れる。
帰宅時間を延長してもらって引き留めたものの、居酒屋で話した以上の話題も特に見つからない。
取るに足らないような、特筆する必要もないようなことをだらだらと話した。
また満腹な彼も酔っ払いの私も少し眠かった。
退屈しているのだとは思われたくなくて、
私は酒を飲むと感情の起伏が激しくなるか、ムラムラするか、眠くなるかのどれか、あるいは全部なのだ
という誰の得にもならないような情報を提供した。
すると彼は
今はどうなの?
と聞く。
眠い、と一言答えると
それだけ?
とさらに続ける。
正直、酔いのせいか状況のせいかなんとなくムラっとしていた。
眠いだけじゃない、いろんなこと考えてるよ
そう言うと、彼は
いろんなことって?
と言いながら私の耳をくすぐった。
もー
こいつ…
全然そんなつもりなかったのに、めちゃめちゃムラムラしてきた!!

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