せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

性欲の謎③

ついにその日が来た。
先輩が家の近くまで車で迎えに来てくれるというので、ありがたく乗せてもらうことにした。
知り合いの車の助手席に乗って夜間に出かけることなど今までの経験で一度もなかったので、すごくわくわくした。
とはいえホテルは最寄り駅近くにあるため、ドライブはさほど長くは続かなかった。


このホテルも普段私が選ばないような値段のところで、入るのは初めてだった。
先輩は逆に他のホテルを知らないと言っていたが。
高いだけあって受付の愛想も良く、栄養ドリンクを無料でくれた。
部屋の広さは安いところとそんなに差があるとも思わなかったが、バカでかいテレビがあって、清潔感のある風呂の中にもテレビがあった。
私は初めてのホテルにテンションが上がってうろちょろしていたが、先輩は私を見るでもなく無表情でスマホを弄りだした。
私にLINEをしてきた人とは思えない淡白な態度に思えた。


私のガキくさい様子に呆れたのだろうか?
そんなことを考えながら隣に座ると
シャワー浴びてきた?
まだなら先に浴びておいで
と言われた。
ラブホテルを利用してセックスするのはこれで4人目だったが、私はこの言葉を漫画以外で初めて聞いた。
(一般的には普通のことなのだと思う)
これに気を良くして私は颯爽と風呂に入った。


エッチなことを話すのも、するのも好きだ。
すごく興味があるし、気持ちいいのも好きだし、彼氏も喜んでくれるし、たくさんできたらいいと思う。
しかしまだそれほど経験があるわけではない。
ただ彼氏以外の何人かとしたことがある、というだけだ。
このホテルにきて先輩の言葉を聞いて私はまだまだ知らないことばかりだなーと思った。


風呂からあがってみるとホテルの備え付けのバスローブとホテルの名前が印字されたポロシャツが置いてあるのに気づいた。
これはどっちを着るべきなんだろう…?
それとも着て出ていくこと自体が変なのか?
私はいつも男の子と一緒に入っていたので、私一人で決めていいのかよく分からず鏡の前でしばらく悩んだ。
悩んで、何か一般的でない動きをして恥をかくより聞いたほうが早いと思い、半裸でM先輩に声をかけた。
答えとしてはどっちでもいいというもので
なんだか無駄に体力を使った。


そのあと先輩も交代でシャワーを浴びた。
その間私はこの時間について思考を巡らせていた。
交代で入る人たちはせっかく一緒に来ているのになんだか無駄な時間を過ごすことになるのではないか?
それとも衛生上シャワーは浴びたいけど、本番でもないのに裸を見せるのはネタバレになってしまうからあえて分けるということなのだろうか。
それかホテルというのは打ち合わせて来る場所ではなく突然の誘いにより訪れる場所で、入浴は前準備をする時間なのか?
面白くもないテレビの前で一人悶々と考えているうちに先輩が風呂からあがった。


先輩とお揃いのバスローブを着てソファに座った。
私は何かしら話しかけたり先輩の真似をしてスマホを触ったりしていたけど、
待てど暮せど先輩は何もしてこない。
それどころか自分からほとんど話しかけてもこない。
私などを遥かに上回って緊張しているようだった。
またいつもは酒の勢いだから改まるとどうしていいか分からないと言っていた。
なるほどなぁ。
ときどき長いため息をついたり、
あーばか緊張するー
などと頭を抱えていて、その様子で私の緊張はほとんどなくなった。


あまりに何もしてこないので
先輩、いつもはどうやってえっち始めるんですか?
と痺れを切らして聞いた。
いつもはー…キスとかハグとかして…
と先輩がもごもご答えるので
ならしませんか?
と無理やり誘導した。


私がリードしないといけない人なのかなと思ったが、いざ始まるとしっかりやることをやってくれた。
逆にこんなお手本通りのセックスする人いるのかという感動を覚えた。


まずは優しくキスをして、そのままゆっくり押し倒す。
そのあと舌を絡めてキスをしながら服の上から愛撫する。
そして首元を緩めて首筋にキスをしながら服の前を開けていく。
それからも常にどこかにキスをしながら少しずつ素肌に触れ、服を脱がして上から下へと愛撫する。
下着へのコメントも忘れない。


ただほんとにどこかで覚えたことをそのまま実践しているという感じがして
なんとなく入り込めずに先輩の愛撫を受けていた。
わりかし気持ちいいし丁寧だし、何も不快なこともないんだけど、
私が見たかったそのときだけの先輩の顔ではない気がした。
練習してきたことの発表会というか、教習所の卒検のような…


気持ちを上げてほしくて私なりに精一杯反応したり褒めたり触り返したりしたけどなんとなくどれも手応えがなかった。
先輩はというとほとんど私に対して言葉はかけてこない。
褒めたりしたことには
まじ?嬉しいよかった
などとコメントして笑うのだが、
私に対して何か言ってくることはほぼなかった。


ただ寝てるだけなのもあれなので私も攻めようと先輩の耳や首筋を舐めてみると
これはなんとすごく反応がいい。
はーんこれはマゾタイプか?
めちゃめちゃ可愛い声で喘ぐしビクビクするしこれはこれで良い。
可愛いですね、と声をかけると
うるせぇ
と言ってそっぽを向く。
なるほどそういう反応ね。
ただし否定する割に言われ慣れてる感は否めなかった。
否定含めてあざとい気がした。


先輩が自分のを舐めてほしいと言うので、
言われるがままに先輩のに手をかけた。
ていうかこれを見るためにここに来たっていう設定なんだった、忘れてた。


せっかく見られるのでよく見ておこうと先輩のを上から下から舐め回すように観察した。
サイズは平均くらい。
反りもあまりなく、亀頭も大きすぎず小さすぎず(あんまり覚えていない)
変な形とまで言われていたが、他と違うのは根本から右に逸れていることくらいだった。
そもそも普段の自慰のやり方が悪いとこういうふうに逸れるというのはあることで、
むしろこれは奇形として楽しむ範疇ではなく単純にセックスのとき不便な特徴ではないかと思った。


なんてことは言えないので
なるほど、ちょっと逸れてますね!おもしろいです!
みたいな反応をしておいた。

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