せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

慰み①

大学受験も終盤に差し掛かり、本番を目前としていた頃
私は友人の彼氏とSNSで個人的にやり取りしていた。


始まりは正確には思い出せない。
友人が受験によるストレスで彼氏からの一切の連絡を遮断し、彼もそれを受け入れた上でやはり彼女のことは気になるので
彼女と親しくしていた私に様子を確認しにくるというのが事の概要だったと思う。


話していて感じたのは、彼があまり受験に身を入れていないということだ。
受験の時期はみんながみんな不安定で、時には本心でないことを口走ったりすることもあったと思うが、
彼の様子だと自分自身の受験についてはあまり期待はせず、どちらかといえば卑下して、もはや諦めているような雰囲気だった。
一方の彼女は彼氏に構う余裕などは一切なかった。
受験なので当然といえば当然だし、彼女はすべてを断ち切らないと集中できないタイプでもあり、仕方のないことだった。


とはいえ、この頃学校に行くこともほとんどなくなっていて、彼女が今どのような様子なのかは私もよく知らなかった。
それでも彼女がときどき送ってくるLINEや、登校日での様子をかいつまんで話すだけで彼は満足そうだった。


私も同じく受験生なので、
彼にいつでも返信できたわけではないが、なんやかんやと受験の合否判定が出る頃になってもこのやり取りは続いていた。


彼は彼女を本当に応援していた。
邪魔してはいけないからと、言いつけを守って連絡もせずに、ただ彼女を待っていた。
彼女の様子を伝えると本当に嬉そうだったり、安心したり、心配したりしていた。
それを他の女に言ってるのはどうなんだとよそからは叱られるかもしれないけど、
私は彼を責め立てる気にはならず、むしろそれで2人が円満に受験を終えられるならこれは正しい形なのではないかと考えていた。
彼は彼女が受験を終えたあと再びかつてのように恋人らしく過ごせるとなんの疑いもせず信じていた。


ところが彼女と話をしてみると全く態度が逆行していた。なんだか滑稽にも感じられるほどだ。
会いたくない、話したくない、考えられない、興味ない
彼氏に対する言葉と思えないようなことを彼女ははっきり私に言うのだった。
先程も説明したとおり彼女は何かに没頭すると他を極端に避けるので、
受験という大きなイベントの最中ではこれは彼女のあるべき姿とも思えた。
受験が終わればまたケロっと元に戻るだろう、そう安易に私も解釈していた。


しかし受験が終わって、結果が出ても
彼女は考えを変えなかった。

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