せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

姫初④

興奮するって言葉に興奮する。
彼が私で興奮してくれているという事実がたまらなく嬉しい。


私からキスすると今度は素直に応じてくれた。
しばらくしていると、いつもするみたいにキスしながらブラを外そうと後ろに手を回した。
しかし珍しく手こずったようで
これなんか難しいな、
と顔をしかめるので思わず笑った。


座り直して改めて彼と向き合うと、今度は手こずることなく外せたようだ。
引っかかっているだけになった肩紐を下ろして、彼は私の腕から下着を引き抜いた。
私だけ身ぐるみを剥がされ心もとなく思っていると、
この日は私が何か言う前に彼が自分から服を脱いだ。


特に鍛えられているわけでもないのだが、
高身長のためなのか、男の子の体だなぁといつもじっくり見てしまう。


彼はまた寝転び、私を引き寄せた。
肌と肌が直に触れ合う。
体温がそのまま伝わる。
溶けて混ざり合うんじゃないかという陶酔感。


あー、俺裸で抱き合うの好き笑
と彼は口元を綻ばせた。


ほんとは全部脱いで素肌どうしで脚を絡め合えたら最高なんだけど、
今日は生理なのでどちらも下半身には手をつけていない。
それでも十分に彼の言ってることはわかる。
これだけですごく良い。


彼は私の背中を指先ですーっとなぞり上げた。
これが快感なのか生理現象なのかいまだにわからないのだが
ぞくぞくとした感覚が走り、体を仰け反らせてしまう。
指先でくすぐったり、優しくさすったり。
彼から与えられる微かな刺激を追って体が勝手に反応する。


胸や性器を触らずにしっかり時間をかけて気持ちを高めていける人はセックスが上手いなと思う。
こいつ回を重ねるごとにちゃんと慣れていってるよなー…。


なんか上手くなってるよね、どんだけの人としたの?
と笑い混じりに聞くと、
えっ笑
と笑うだけで今度はちゃんとは否定しなかった。
なんか腹立つなぁ。


どこの誰とも知らん女とセックスして上達していってると思うとどうにも落ち着かなかったので、
私も興奮させてやろうとめちゃめちゃに舌を絡めてキスしてやった。
それから腰をくねらせて、ズボン越しに彼の股間をしごくように下半身を擦りつけた。


抱き合ったときから薄々気づいていたが彼のはもうガチガチだった。
硬くなっていることに満足して続けて体を押し付けていると、
そっちも上手くなってるよね…
と若干上ずった声で私を見上げながら言うのだった。


彼はそれから胸をそっと触って、
大きくなった?
と聞いた。
そんな自覚はなかったので、また適当言って持ち上げるつもりなんだなと思っていたが、
普段胸をほとんど揉まない彼が何度も触っては「絶対大きくなった!」と言うのでなんだかそんな気がしてきた。
後で考えたら生理だから張っていただけなのだが、このときの私にその発想は降りてこなかった。


彼は私を抱いたまま起き上がって、胸を舐めた。
直接的な刺激に思わず声が出てしまう。
ふふっと彼が笑う。
軽く甘噛みされ体が反り胸を突き出したような姿勢になってしまった。
それを支えるように彼が背中に腕を回して首筋にも噛み付いた。
こっちは結構ガブリといかれた。
ほんとに食べられるかと思ったぜ。


されるがままの快感を受け入れながらふと壁に目をやると、
ストーブの灯りに照らされた私達二人分の影が大きく映し出されていた。


うわ。


自分の体。彼の体。
やはり男女の体格は全然違う。
私の腰のラインと彼の大きな背中が対照的に映る。
体が混ざったり離れたりしてる。


私が思わず、
影、すごい…
と呟くと、
めっちゃエロいよな、俺も気づいてた、
そう言いながら私から体を離して影に目をやった。
胸のラインがくっきりと映るのを見てにやりと笑った。
意地悪だけど嫌いになれないなぁ。


あー最後までできないのにこんなことばっかりしてしまう!
彼が急に我に返って嘆いた。
そうだね〜、全部したくなるよね〜、
私は同意しつつ彼の言いたいことを代弁したつもりだったのだが
彼はわざとらしい笑みを浮かべて
今日は前戯だけの日だね
と言った。


彼の笑顔が胡散臭さを増していた。

×

非ログインユーザーとして返信する