せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

ひとのもの③

なんやかんやと彼はその気だった。


設けていた保留期間も過ぎ、
結局それは実行に移されることに決定した。


彼自身がしっかりやることをやってくれれば私としては問題ない。
彼女がいる人とするのは初めてだが、
私と同じような価値観であるなら気持ちの面も気にしすぎなくて良いだろう。


何度か彼女に携帯を見られそうになったとか、不審がられている気がするが上手く切り抜けたとかいう話を聞き流して


いよいよ当日となった。



待ち合わせは現地。


自宅から自転車で行ける距離のラブホ。


私は彼氏と以前にも訪れたことがあったのだが、
相手のほうは電車を乗り継がずにラブホに来るのは初めてとのことだった。
人に見られると不都合なので早々に中に入る。
妙な緊張感があって口数が少ない気がした。


とりあえず入室し、息をはく。
彼も息を吐きながらニヤッと笑った。


えーと…


とりあえず風呂入る?


ここからどうしたらいいのかと考え出した私に彼が答えを出してくれた。
なるほど、風呂ね。


彼氏とはまず風呂ということはない。
だいたい一回して、それからお風呂でゆっくりする流れが多い。
しかしまず体の汚れを落とす派も当然いるだろう。(私は風呂に入ってからホテルに行くことが多いのだが。)


一緒に入るか、
と彼がすたすた歩き出したので急いで着いていく。
服を脱ぐタイミングとか裸を見るタイミングとか下着の感想とか
そういうのすっ飛ばした構成なんだなと思いつつ提案に従うことにした。


とはいえ脱衣所では彼は少し脱ぐことを躊躇い、
恥ずかしいな、笑
と笑った。
私も脱衣所で自分で服脱いで見せることになるとは思ってなかったんだよな。


慎重な手つきで彼は下着をおろした。
既に質量を持ち始めていた。
サイズに自信があると聞いていたわりには平均ちょい上くらいの印象だったが、
多分何かしら称賛した覚えはある。
私の体について何か言われたのかは全く覚えてないが、あまり感動はなさそうだった。
女の裸は見慣れてるので仕方ないのだろう。


バスルームに入り、
風呂に湯を張りながら彼が私のことを洗うと言ってきた。
洗いっこじゃんエロ〜と思ったが、
彼はめちゃくちゃ真剣に私の髪を洗ってくれた。
これが彼女とのお決まりコースらしい。
洗い方の良し悪しは私にはよくわからないが、美容師顔負けの頭皮マッサージには脱帽した。
なんやこの健全な癒やしは。
裸同士なこととか忘れるわ。


てっきりこの後体のほうも洗ってくれるのかと思ったら、
自分で洗ったほうがしっくりくるだろう
とかいう反論しづらいことを言われて各自で洗うことになった。
なんなら同様の理由で彼の頭を洗うこともかなわなかった。
そうなってくると1人ずつ入ったら良かったのでは、と思わなくもないのだけど
それは言わないでおこう。


湯船に入ると彼が
こっちおいで、
と引き寄せて後ろから抱きしめてくれた。
そういうことやるタイプなんだ〜へ〜
みたいなことを思ってニヤニヤしてしまう。


彼の手がそっと胸に触れてきて、思わず反応してしまう。
しかし私の様子に満足したのか
攻めはそれほど長くは続かなかった。
それから少し雑談をして風呂を出た。



この後の行為の記憶は曖昧で
特筆するようなことも特にないのだが、


最悪の教訓を残したことだけは確かである。

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