せいせいかつ日記

大きな声では言えないような話をします。

キスマーク④

これはなに?
と私は聞いた。
バレた、さっき俺も思い出してやらかしたなと思った
と彼は笑う。
何が可笑しいんだろう。
わからないけど、とりあえず私も作り笑いをしてできるだけ空気が悪くならないようにしようと思った。
だけど口を開くと泣きそうになるし、痕を見ても彼の顔を見ても、どこのどいつかも知らない彼のお相手の存在を感じてしまって胸がズキズキした。
吐き気がする。
彼はひょうひょうとした態度で
ごめんって〜
と笑ってその場をやり過ごすつもりだったようだが、私の表情を見て焦りを感じた様子だった。
正直ちょっと気づいてたよ、さっきも見えてたし
と私が言うと、
なら先に言ってよ!
と笑いながら怒られた。
いや、うーん、まさかと思うでしょ。
キスマークついたままラブホ誘ってくると思わないでしょ……


そんな話をしてる間も彼は私の体に触れる。
かなり余裕がないのかいつもの丁寧さがない。
それは別に構わないんだけどなんかなぁ。
胸大きくなった?
と彼は言う。
ご飯食べてるときに育乳してるって話したからだな。
残念ながらそんなにすぐ効果は出ないだろう。
何をされても、何を言われても集中できない。
興奮などするわけもなく、ただ快感を受け流すだけの体になっていた。
私も私で必死だった。
こんな状態ではだめだと思い、彼にキスをしてみるけど、すぐ真横にあるキスマークに目がいってしまう。
自分の手でキスマークを覆って彼の顔を見たけど、そんなんことをしても目を閉じても痕が頭に焼き付いて離れなかった。


一回目よりはマシかなぁ、涙出てないもんな。
虚無という感じでもない。
確実になんらかの負の感情で胸がいっぱいなのは分かる。
でも自分が悲しんでるのか、怒っているのかよくわからなかった。
何度かかぶりを振って目の前の彼に集中しようとした。


ねぇ、1つだけでいいから、その相手より私が良いと思うところを教えて、一つでいいから…
キスマークを見ないようにしながら彼に言う。
その人と競いたいの?
と彼は訝しそうに言ったが、正しく弁解する余裕もない。
競いたいわけじゃないけど、そうでもしないとやってられない!一つだけでいいから、なんかないの?
少し笑いを含んで軽口を装う。
彼はすぐには答えず、
うーん、そうだな…
と困ったようにしばらく唸っていた。
そんなに答えるのが難しいだろうか。
比較したことがなかったのだろうと楽観的に考えることもできず、私は余計に惨めな気持ちになった。
馬鹿だなぁ。
ようやく彼は答えを捻り出し、
声…とか出してくれるのは嬉しい…かな
と言った。
前も声の話してたな。
セフレより反応が良いのかね。
普段の声とのギャップを指摘されたこともあるから印象的なだけなのかもしれない。
せっかく絞り出してもらって申し訳ないが、思ってたより心は楽にならなかった。


性急という言葉はこういうときに使うんだろうというくらい彼にはいつもの余裕がなかった。
キスマークの色から言ってそれほど日も経っていないだろうに何をそんなに飢えてるんだか。
他の部分の愛撫もそこそこに執拗に中を責めてくる。
それも挿入したいという気持ちが透けて見えるような動きで、気持ちよくしようというよりも濡らして広げようという感じ。
しかし残念ながら気持ちいいか興奮してるかどちらかがないとさすがに濡れない。
いつもなら彼と行為に及んでいるという事実だけで十分に濡れるのだが、
この日はどうにも乾いたままだ。
萎える、
というのはこういうことなのだろう。


今日はするべきじゃなかったな、やめとこか
と彼は何度か言ったけど、口先だけのように聞こえた。
私は私でここでやめて帰っても結局虚しいだけなのは分かっているし、彼に幻滅されても嫌だなどという発想がまだ残っていた。
待って、頑張るから、ちょっと待って…
彼から目を反らして肩口に顔を埋める。
ここまで近いと何も見えない。
首筋にキスを落とすと、彼はキスマークを付けられると思ったようで抵抗した。
付けてやろうかとも考えたけど、セフレで仲良くキスマークを並べるのも気持ち悪くて興が削がれた。
セフレには付けさせておいて私には拒むんだ、へー
とは思った。
付けないから安心して、キスするだけだから
そう言ってそのまま口を這わせる。
やだなぁ、何しても気持ちが晴れないや。


彼はすぐにでもいれたそうな雰囲気で、何かする度に中に指を入れて状態を確かめた。
あまりにも濡れないので途方に暮れているようだ。
少しは濡れてきたけど、前のほうが良さそうだったね
と彼は言った。
前回は興奮しすぎてぐちゃぐちゃだったからそれを目指すとなるとなかなか今回は厳しいだろうな。
私は彼のものに手をかけた。
彼は彼で前回より硬度が落ちている。
なんでだよ、やりたいんだろ??
そのままそれを咥えて、口でしごいた。
あー、気持ちいい…
と彼は快感に目を閉じる。
フェラはほんとに上手いよな、余裕で勝ってると思う、ほんとに上手い、
このままイケるもん、フェラ上手くなった?
褒めることが見つかったのかここぞとばかりに喋る。
フェラが上手なデリヘルか、私は。
気持ちいいなら何より。
口の中で彼のが大きく硬くなるのを感じた。
しゃぶってたら嫌なこと多少忘れられそうだな。

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